O、Sparti UCI S2
2019シーズンの本格的な開幕レースは、春の強化遠征に続き、ギリシャで開催されるUCI S2レースと、UCI C2レースを選んだ。
結果、4日間のステージレースは、沢田選手が総合6位、平野選手は12位となり、目標としていたUCIポイント50点以上の獲得に成功した。
4月1日、新しい日本の年号が発表されたその瞬間、チームはトランジットのためドーハにいた。こうして、計画を確実に進めることが出来るのも、多くの理解と支援にある。官房長官が掲げる新しい年号を海外のトップニュース画面でみながら、このチームとレースへのモチベーションは上がる。
チームはアテネから250km先にある古都スパルティにアパートを構えた。ここにはオリンピックマークが世界で最も多く掲げられるオリンピックの聖地。2019シーズンに相応しい場所だ。レースはカリヤスという長野県北部によく似た残雪と菜花の綺麗な小さな村で繰り広げられた。起伏に富んだ小さな村だが、深い山岳に包まれ、遠くに冠雪の美しい広大な山脈が見える。レースのスタート・フィニッシュは村の中心の石畳の広場となり、住民も穏やかに歓迎してくれる良い雰囲気。
一方、コースは道幅こそ充分だが、荒れた路面と、赤粘土質、融雪による泥川、村内の石畳や砂利の浮く激坂、曖昧なコース表示など、やはり欧州のタフなレースだと感じるシチュエーション。オフィシャルのサポート道路も、ラリー車が必要な程の泥川、地割れ、崖コーナーがあり、サービスフィードに到達することすら困難な環境だった。(実際、1時間スタックに苦しんだ)
エントリー選手は少数精鋭となり、ロシア、ギリシャ、フランス、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドなどからアルカンシェルやナショナルチャンピオンマークをもつ強い選手が集まってきた。皆、ワールドカップ、来年の2020を目指している選手ばかり。我々が追い駆けるべきレベルの厳しいレースが展開された。
4月3日 12:00 XCT 22km
4月4日 11:00 XCM 66km
4月5日 16:00 XCP 44km
4月6日 18:00 XCC 1.7km×45min
4月7日 12:00 XCO 4.7km×7lap
1週間で5レースをこなす非常にタフな今回の遠征スケジュール。恒例であったUSカップ(米国)を選択せず、日本で1か月の強化期間を経てこのレースに臨んだ。負荷が大きく、様々な要因の中で選手の本質的な強みと弱みが暴露され、自らの課題に気づき、現状の回復力が試されるステージレース。それに続くXCOは別大会とは言え、実質的に5日目のレースとなり、相当高い集中力が求められる。
こうしたレースを計画的に設定し、選手個々の強化とオリンピックに向けた成績を積み重ね、あらゆるXCOレースへの対応力を限界まで高めていくのがTEAM BRIDGESTONE Cyclingの2019戦略だ。
第1日目 XCT
快晴だが山頂では寒風が吹く中、各選手は60秒間隔でスタート。フレッシュな状態でのオープニングステージは、スタートからパワフルなダンシングがみれる。一方、コースは踏み固まった轍が曖昧で走り難いこともあり、トップ選手も中々タイムが上がらない。結果、このコースを良く知るギリシャ・ナショナルチャンピオンとマラソン元世界王者がワンツーフィニッシュ。チームは中盤から動きが良くなった沢田選手が10位、前半トップ5に入るラップを刻んでいた平野選手は後半のラインミスもあり11位となった。
第2日目 XCM
スタートこそ晴れていたが、中盤から雨が降り始め、ときに霙もある非常に寒い一日。同一コースを3ラップする。スタート間もなくセカンドパックを形成し、一旦は単独になりながらも前のパックを捕まえ、前日のXCTで先行された選手もかわしてしっかりとプッシュできた沢田選手が5位を獲得。急激な寒さと降雨で低体温症になりかけた平野選手は、ひたすら耐え忍んでの12位フィニッシュとなった。
第3日目 XCP
スタートこそ小雨だったが、やがて寒い雨。路面は雨で逆に落ち着いているが、白霧がコース全体を包んで視界が極端に悪い。スタートから異常な速さでトップを行くロシア選手を先頭に長い列車が続く。チームの両選手とも前半は身体が固く、積極的なパックに乗れない。しかし、中盤あたりから沢田選手は前を行く選手を巧く利用しながら得意なセクションでプッシュを開始。徐々に順位を上げて7位でフィニッシュ。平野選手は彼本来のアグレッシブな走りが雨で完全に抑えられ、独走になってしまうがペースを崩さず14位で完走した。
第4日目 XCC
高い降水確率の土曜、雨が止むことを誰もが期待し、空はそれに応えた。一方、選手の疲労はピーク。村中の狭いターマックと石畳を使う2㎞に満たないショートサーキットは荒れた路面が滑りやすく、落車の可能性も考えなければならない。更に直角コーナーと斜度20%の激坂が体力を削いでいく。ステージ最終日であり、総合順位を確実なものにするためには、このレースはノーミス、かつプッシュしなければいけない。レースは総合優勝を争う4名のパックがファストラップをつくる。
沢田選手はセカンドパックを前に捉える位置で周回を重ねた。順位こそ上げることはできなかったが、脚の掛かり、力強さは近年で最も良い状態。9位でフィニッシュし、総合6位を獲得した。平野選手は自分のリズムを取り戻そうと、懸命にライディングポジションを探っていた。中盤からリズムが良くなり、欧州の強豪をパスしての12位フィニッシュ。総合も12位となった。
これで4日間の激しいステージレースが終了。レスト日はなく、明日はこのギリシャ遠征最終レースとなるUCI-C2 XCO に挑む。
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