O、Asian championship Lebanon
全日本選手権から1週間の今、ここレバノンの地にいる。2019アジアマウンテンバイク選手権の日本代表として、TEAM BRIDGESTONE Cycling は平野選手、沢田選手、小林が参加した。
結果、完走者がたった10名(出走33名)というXCOエリートで、平野選手が7位、沢田選手が10位となった。
10位以内には中国4名、イラン2名、カザフスタン1名が入り、アジアチャンピオンジャージは中国の若手エースの手に渡り、中国が東京オリンピックの大陸枠を獲得した。
今回の平野選手、沢田選手の成績は、東京オリンピックのXCO Men日本代表資格条件をクリアするものになるが、我々チームが求めてきた二人のポディウム獲得を果たすことはできなかった。
特に絶好調でレースを迎えた平野選手にとっては、得意なパートが全て除去されたようなコースになっており、スタート直後の渋滞やパンクも相まって本領を発揮できないままレースをフィニッシュした。
沢田選手はバイクに乗車できない得意な登坂でのプッシュを繰り返すなど終始全開で走ったが、平野選手からも4分遅れ、成長著しい若手の海外勢に力負けした格好であった。
初参戦の中東国を加えた今回のアジア選手権はいつもより国際色が豊かになっていた。また東京オリンピックへの大陸出場枠を獲得すべく、カザフスタン、イラン、中国、韓国などもスタッフを増員して事前合宿するなど、各国が例年に増して力を入れてきた。
まだ過去の悲惨な戦争の名残を感じるベイルートからクルマで90分北上した標高850mにあるオフィシャルホテル。レース会場はホテルから更にクルマで40分登坂した標高2000mのスキーリゾート。日中は、日本の真夏の気温になるが、空気は極乾燥していて日陰はとても涼しいが、会場周辺にはスキーレンタルハウス以外に何もない。
加えて、公式練習で義務づけされるコースマーシャル、ドクターが一人もおらず、初日の公式試走が途中でキャンセルになったり、会場とホテル間のトランスポーターは事前計画がなく、前夜にようやくスケジュールが決まるという事態。一時はUCIが大会そのものをキャンセルする可能性も示唆された。高地順応を含め、ソフト・ハード両面から順当には行かない厳しいレースとなることが予想された。
一方、平野選手は事前の高地トレーニングの効果もあり絶好調で会場入り。沢田選手もシーズンを通じてこのレースに照準を合わせてきた。そして、何が障害になろうとも決してフィニッシュまで諦めないことをシーズン中何度も確認してきた。だからレースへの指示はしない。彼らは全てを尽くしてスタートラインについている。
10:15定刻。森林限界を超えた鋭利な岩とアザミなどのトゲ植物だけしかない起伏の激しい荒れた路面の4.23km×6ラップ。二人とも最前列からのスタート。U23も同時スタートだ。しかし、直後のペダルキャッチミスや接触による集団の混乱と、滑りやすい砂壌土の登坂で大渋滞を招き、スタートしてから500mも進まないうちに両選手ともカザフスタンの選手らが引く先頭パックからあっという間に15秒以上の差が開いていく。
コースはパスポイントが限られ、ガレ場のアップダウンが連続するために自分のペースをつくり難く、スタートから半周の間に30秒もの差が開いてしまう厳しいスタートとなった。
2周目、この流れを止めるべく、縦になりはじめた15~20番手前後の大集団から抜け出そうと平野選手と沢田選手は積極的なプッシュを繰り返した。この周の後半には隊列が整い始め、中国、カザフスタン、イランの有力選手を間に入れた長い列車が続く。パンクも出始め、テクニカルフィードも騒がしくなってきた。
3周目、ようやく先頭の中国選手に追い付いた山本選手が前に出る。一方、スタートダッシュを決めたU23の平林選手が大きくペースダウン。平野・沢田選手は二人パックを形成して先頭を追う。しかし、流れの良くないコースで二人の波長を合わせてラップを上げて行くことは簡単ではなく、先頭との差を縮めることができない。
4周目、80%カットにより半数の選手がレースを降りて行く。平野選手には余裕すら見れるが、彼の得意とするペースアップ区間が少なく、逆にバイクを降りて押さなければならない滑る激坂で大きくペースを乱され、調子の良さとは裏腹にトータルラップが上がらない。沢田選手は全開プッシュするも平野選手からも遅れ始めてしまう。
5周目、中国選手が強烈にアタックし、山本選手が遅れていく光景に会場はざわついた。エリートの先頭ラップが速く、U23の日本代表は全員80%カットでレースを降ろされていく厳しい展開の中でも平野選手は諦めていなかった。前後の選手との間が空いていても集中してプッシュを繰り返し、前の選手とのタイム差を詰めて行く。一方、沢田選手はガマンの展開。高所のため後半になる程にラップが落ちていくが、集中を切らさず順位をキープしている。
6周目、ファイナルラップを走るエリート選手は僅か10名。U23はたったの2名しかいない。平野選手はひたすら前を追い続けて順位を上げようとするが、後輪を岩にヒットさせパンクしてしまった。順位を上げることは叶わず7位でフィニッシュ。沢田選手は全てを出し切り、最終完走の10位でフィニッシュした。
2019年のアジア選手権が終わった。チームとして今季最大目標のレースに勝つことができなかった。
日本から連日の応援、スポンサー・サプライヤーから多くの期待と支援を頂きながら、最高の結果を示すことができなかったことは真摯に受け止めなければいけない。
一方、チームは東京2020の舞台を目指すスタートに立ったことも事実。1分1秒無駄にすることなく、できることをひとつずつ、丁寧に積み上げて行くしかない。
そして、進化の激しいフルサスペンションバイクが主流となるレースシーンの中で、XR9が高い耐久性とレスポンスを見せ続け、チームライダーを支えてくれている。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingはより強く。必ず。
応援をありがとうございました。
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