2018年9月25日火曜日

W、Sakarya MTB Cup UCI-1XCO

世界選手権の閉幕でビックレースが落ち着き、久しぶりに日本国内でビジネスと村祭り、菜の花畑の準備。やはり産まれた場所が一番いいなと思いつつ、今週から再び海外へ。10月第1週までトルコ、10月中旬にはギリシャ、あと4レースで2018MTB シーズンをクローズする計画。
今回のトルコは春の遠征から強いインビテーションを受けていた。フライトはターキッシュエアラインが全額サポートするから来て欲しいと。。
トルコは2020MTBマラソン世界選手権を控え、国をあげて自転車競技を育成強化しようとしている。UCIレースも連戦とすることで、欧州や中東、アジアからもより遠征しやすく、それはよりレベルの高い多国籍の選手が集まることになり、必然的に知名度とレースレベルが上がっていく。トルコのサイクルスポーツは益々盛り上がるに違いない。
この秋季遠征はXCO3レース、XCS1レースをプログラムした。それも貪欲な強い欧州勢が沢山エントリーされてくることが予想されていたので、決して容易にUCIポイントを獲得できるとは考えていない。たった1ポイントでも獲得することにどれだけプッシュできるか、今ある出力や調整力がどこまでなのか、を疲労の溜まるシーズン後半だからこそ暴露したいという意図もあった。ある意味、これは東京オリンピックに向かって行くためのテストレースでもある。
その最初のレースとなるのがSakarya MTB Cup。イスタンブールからクルマで2時間程にあるSakaryaは観光客を殆ど見ないコンパクトな街。しかし、郊外には自転車ナショナルトレーニングセンターと常設XCOコース、BMXコースを新築しており、Sakaryaは世界最先端の設備をもつ街だとトルコの競技連盟は語る。確かにいつものナチュラルでオーガニックなトルコのレースとはまるで異なる環境で、レース会場はまるで世界選手権やワールドカップのような空気と装備。警官の動員数も半端ではない。XCOコースは完全に人工造成で、丘にある新興住宅街の真ん中にある公園そのものが自転車専用のパークになっている。周辺の治安も問題のない雰囲気で、レースを行うロケーションとしては素晴らしい。過去にあった大震災で崩壊した街を再建し、今日に至っているのだという。海外から多くの国の選手が集まることを住民も大歓迎してくれた。
ただ、XCOコースはこのレースがオープニング。 レイアウトは現在のレースシーンを強く意識していて素晴らしいのだが、ほぼ全路に敷かれた砂利がレーシングでの流れを遮断してしまう。無用な落車やスリップを誘発し、長い登坂こそないものの、ドライなのに誰も登坂できない激坂もある。当然に渋滞を招きやすく走り辛いコースという印象。単独走行になれば前のパックとの差を詰めることは困難になることは必須だ。画像で見るより遥かに集中力の必要なコース。チームはレース2日前から会場に入り、入念なインスペクションを行い、バイクはギア比もタイヤもハイスピードなセッティングとした。(シュワルベのNewタイプタイヤ、RacingRAY/Ralphも実戦投入)
9月22日13:30定刻、2列目に平野選手、4列目に沢田選手。WCさながらの豪華な雰囲気の中、号砲一発で8周回のレースがスタート。大集団が土煙を上げてオープニングラップへ入っていく。先頭パックはこのレースを制することになるIVANOV選手(RUS)、そして今季から会場地元のSALCANOSakaryaBB.ProTeamに加入したAnton選手(RUS)、Martins選手(LAT)らワールドカッパーが形成。アジアで馴染みのKirill選手(KAZ)もFaraz選手(IRI)もこのレースに参加しており、スタートから予想したラップより速い。これまで経験してきたトルコのどのレースよりも速い展開だ。
チーム2選手はトラブルはなくスムースなスタートとなったが、レース序盤は30位前後のミドルパックに埋まる展開。砂利登坂などでの渋滞も影響し、1周目から10名程の先頭パックを逃してしまう。
2周目、先頭のスピードは速く、大きなパックはどんどん崩壊していく。一方、70名程の選手は長蛇になり、パックでの圧迫は徐々に解消されていく。その中を沢田選手は丁寧に前の選手をパスし順位を20位前後に上げていく。平野選手は前後の選手から抜け出せなく30位前後で動きが停滞。
3周目、沢田選手が積極的なプッシュを続ける。バイクを降りなければならない激坂シーンではこのレース最速ラップ。誰よりも早くバイクを降りて登り切ってからの乗車も早い。シクロクロスでの技術がよく表現され、50mもない短い区間でも数名を抜いていった。平野選手は苦しい展開が続く。彼本来のダンシングは砂利だらけのスリッピーでルーズな路面がスポイルしているようだ。
4周目、レース全体が落ち着き始める。先頭のIVANOV選手が非常に速いペースで単独逃げを決め、それを追うべきセカンドパックも徐々に崩壊し、破線になっていく。沢田選手も平野選手も大きな動きを見せることができない。
5周目、ポディウムを狙う選手たちが下位の選手をラップし始める。会場は交差・フライオーバーが多いため、誰が何番を走るのかが疑わしい風景になってきた。沢田選手は充分な強化期間を経てこのレースにエントリーしており、中盤もパフォーマンスは落ちない。1名ずつ前を追い、UCIポイント獲得順位が見える位置まで上がってきた。平野選手はペースダウンはしないものの強いプッシュができない。
6周目、IVANOV選手は2位以下との差が大きく拡大してもプッシュを止めない。ポディウムを狙うトップ5はそれぞれ1分ほどの間隔で先頭を追いかけていく。沢田選手はパックから抜け出し単独走行に。平野選手は復調を見ることができない苦しい展開。
7周目、前方に見える選手を諦めずに追いかける沢田選手は16位まであがってきた。単独走行では難しくなるプッシュを繰り返す。一方、平野選手は精彩を欠いたままガマンの走りを強いられている。
8周目、80%カットで多くの選手がレースを降りていく中、平野選手もこれに該当。マイナス1ラップでレースを終えた。課題は分かっているのでこの遠征中に修正可能だと信じている。沢田選手はたった23名の完走しか許されなかったこのレースを16位でフィニッシュした。アジア大会後の強化の証が見れたレース展開だった。
チームとしては、残念ながらこのクラス1レースでUCIポイントを獲得することは叶わなかった。しかしライバルのレベルを鑑みた場合、このレースで勝つことは、ワールドカップで20番台を走ること、ポイントを狙う位置で走ることはナショナルチャンピオン・アジアチャンピオンの獲得に繋がる。こうしたレースで確実に進化しながら、挑戦を続けることが大切だ。
まだ始まったばかりの秋季遠征だが、このチーム体制、遠征、機材をサポートしてくれる全てのスポンサー、サプライヤー、ファン、家族に感謝します。必ず良い土産をもって帰国します。
次はUCI-3マラソンSakarya。









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