W、Salcano MTB Cup Arnavutkoy Istanbul UCI-C1
昨年に続き超ヘビーマッドとなったイスタンブールでのUCI-C1レースが終了。結果、沢田選手が8位、平野選手が12位となり、UCIポイントを獲得した。
Sakaryaでのハードな2レースを終えてから5日間。トレーニングや現地自転車協会とのセッションのためSakaryaの街に滞在を続け、イスタンブールにはレース2日前に移動。イスタンブールは巨大な都市で、何でも欲しいものは揃うが、とても自転車のトレーニングができる環境にない。かつては田舎だったところもあっという間に道路や建物が建設され、2年前のナビゲーションソフトでは空中を飛んでしまう。
チームは環境のよいSakaryaで効率の良い充電とトレーニングを積んできた。このレースにはSakaryaに続いてロシア、フランス、ギリシャ、ウクライナ、カザフスタンなどから有力勢もエントリー。トルコはここ数年で格段にレースレベルが上がってきており、UCIポイントを獲得することは容易ではないが、このレースでのチーム目標は、2選手がUCIポイントを確実に獲得することだ。
昨年もこの地でレースを戦っている。それはとても苦い記憶。レース前夜から雨が降り、当日は普段バイクが走らない粘土質の捏ねた泥でタイヤさえ回らなくなる酷いものだった。それもレース当日だけが雨。あまりに酷い田んぼのような箇所はカットされたが、日本ではまず経験しないコース。バイクも選手もダメージが大きいイスタンブールだった。
そして今年。デジャブーだ。全く同じシチュエーション。会場の雨と泥は1年前にタイムスリップしたかのよう。選手はタイヤの選択に悩んでしまう。苦い記憶がそれを更に深くしているのだ。スタート1時間前。午前中まで降っていた雨は完全に上がった。晴れ間は見えないが、雲は上空高くしばらくは雨が降らない様相。ライバル達は選択肢のないタイヤに悩みはなく、自分に集中し始めていた。顔なじみになったロシアやギリシャのトップ選手に聞いても持ち込む銘柄は少ない。いつも同じだよ、とサラッという。
そう、我々は選択肢を持ち過ぎているのかも知れない。シンプルにフルガスでスタートしようと決め、選手とは昨日の公式練習で使ったタイヤで行こうと決めた。タイヤの威力、機材の性能は無論だが、パワーがあればどんな状況でも速いのがレース。今の我々日本人の競技レベルでは機材を論じる前にやるべきことが沢山ある。
9月30日13時、前日会議の決定より1周回マイナスの7周回がコールされた。1列目に平野選手、2列目に沢田選手が並ぶ。定刻より少し遅れてスタート。40名程の集団はアスファルトの直線から120度ターンして進入するオフロードへと流れていく。短い登坂や泥でバイクを降りて押す渋滞場面は直ぐに発生。あっという間に先頭が抜け出し、集団は1周回を待たずに分解されていった。平野選手は5番手、沢田選手は12番手で1周目に入った。
ファーストラップはSalcanoのANTON選手。IVANOV選手はその後ろ。二人の強いロシア勢が先頭パックを形成してレースを牽引。続いて3位4位のパック、5位前後のパックに平野選手、沢田選手は10位前後のパック。ラップタイムは予想より遙かに遅い。7周回なら2時間超えだとテクニカルフィードではスタッフ同士が両手をあげて顔を合わせた。
2周目、沢田選手が平野選手より前に出て5位を狙う位置に。平野選手は遅れて12位前後まで下がった。やはりバイクに乗車できない箇所があるのだと分かる。シューズの底に沢山の泥が纏わりつき、バイクはBB後ろの泥溜まりとタイヤサイドの立体的な泥付きがひどい。担げずバイクを押す場面が多いのだろうと推測できた。沢田選手はシューズが壊れたと叫びながらフィードに近づく(走行中の接触でダイヤルが解除されただけだったことが判明したが)がそのまま走行。平野選手はランニングの影響でペダルがはまり難いストレスを抱えていた。ストレスフルで思うように走れないトルコナショナルチャンピオンは早くもここでレースを降り、先頭に立ったのはIVANOV選手。ANTON選手を引き離していく。
3周目、ライバルたちの機材トラブルが発生し始める。主にギアシフトだ。我々のようなDi2はこうした泥には非常に強い。ミスなくスムースなシフトは大きなメリットだ。沢田選手がカザフスタンのKirill選手にかわされたが、引き離されずに食らいつく。「これを7周回も走るの」と叫びながら。。平野選手は単独走行となりながらもポイント圏内。彼の嫌いなストレスフルな路面状況に耐えていた。一方、UCIルールを正確に理解しない地元審判は、フィーダーがゾーンを超えてコースを数十メートル並走しながらディレーラーとスプロケに水を当てて泥を落とす行為を黙認。選手の身体の泥をフィーダーが落とす姿もあった。正確なルールが適用されたらトップ10の半分は失格だったろう。でもこれもレース。我々はUCIルールを冒すことはない。
ここでレースが6周回になることが発表された。(それもトルコ語で)
4周目、沢田選手がKirill選手をかわしてきた。今季は彼の前を走れていない分、このレースでは強くプッシュ。シクロクロスで培ってきた走りを魅せながら7位でフィードに戻ってきた。平野選手は周回遅れとなった選手を抜きながら順位をキープ。しかし、ここで急遽2回目のレース短縮が発表された。5周回でフィニッシュだと。。当然にフィードは混乱。情報がトルコ語のため真実が伝わらない。その中、先頭を独走するIVANOV選手のラップが非常に速いため、多くの選手に80%カットが適用された。結局、完走を許されたのはたった10名。UCIポイント圏内でありがら平野選手もここでレースを降る格好となったが、12位でUCIポイント6点を獲得した。5周目、沢田選手は懸命に前を追うが、前にライバル選手が見えない。こうしたレースでは前の選手が視覚にないとマイペースとなってラップコントロールが難しい。背後にいた選手が沢田選手を利用して前に出たが、沢田選手も最後まで諦めずに走り切り、8位でフィニッシュ。UCIポイント14点を獲得した。
今回、このレースにおけるチーム目標は達成することができた。次はYalovaでのUCI-C1レース。チームにとっては全員で戦う2018シーズン最後のXCOレースとなる。ポディウムを目標に、全てを尽くして臨む。
日本からの沢山の応援、サポートに感謝します。結果に拘り、より良いレースを展開し、プレオリンピックシーズンに繋がるレースにします。
ありがとうございます。
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