R、イスタンブールUCI-HCレース
トルコ・イスタンブールで開催された今季最後のUCI-HCに参戦。結果、沢田選手が11位、平野選手16位となり、チーム目標のUCIポイント30点の獲得に成功した。
先月末、トルコでのUCI公認3レースの計画が実現されるとの現地連盟の案内を受け、チームはスポンサーや関係者の理解と協力により、国内CJシリーズをキャンセルしてUCIレースを優先することを決めた。アンカーはUCIチーム。このレースがどれだけ2018シーズンに大きな意味を持つかを知っているゆえだ。
先ずはイスタンブールでのハイクラス。そして2週間後には古都Konyaでクラス3、クラス2レースが同会場で連戦となる。
イスタンブールはインフラが発展途上。アパートもホテルも高層ビルが多く、人口が超過密で道路は人が歩くことは勿論、自転車ではとても走れない。郊外に出ても中々トレーニングに相応しい場所は見つからないため、レース会場が唯一のトレーニングエリアとなる。チームはレース2日前に会場入りし、どの国よりも早いコース試走を実施。ドライなら3800mのコースはラップ9分台のハイスピードコース。シクロクロスに似たレイアウトで、欧米のような縦の激しいロックセクションはない。しかし、天気予報が当たり、一旦雨が降ればどれだけ路面が荒れるかは予想していた。
レース当日。流石はハイクラスレース。イスタンブールにはオーストリア、イタリア、フランス、ロシア、ギリシャ、イランなどからワールドカップ、世界選手権で10~20番台に入るハイレベルなメンバーが揃った。しかも前日深夜から当日朝までの多雨で、牧場とピクニック公園を使った柔らかい石灰粘土質のコースは、自転車が走ることを拒む非常に粘りつくマッドコースに変貌。(トルコアイスだったらいいのに)試走とは全く異なるハード・タフなレースになることは誰もが理解した。
これにより100%乗車出来る選手は一人もいない。そしてマッドタイヤを持ち込めた選手もいない。併せて午前に行われたトルコ国内カテゴリーレースで路面は更に悪化。レースキャンセル寸前の悪路になっていった。チェーン切れ、エンド割れ、ディレーラー破損、パンク、フレーム折れ、とあらゆるトラブルが続発。タイヤが泥でロックしていまい立ち止まりながら泥を排除したり、ホイールを引きずりながらバイクを押す選手も多発した。
それを横目に、チーフCOM、トルコ連盟スタッフと何度も情報交換を試みた。エリート男子は3800m×9周がテクニカルミーティングで公表されていたが、みるみる変わる状態に全てのCOMが軟化し、8周回と泥深い箇所をショートカットすることで結論づけられた。
チームの二人は、ゼッケンNo.17、19。2列目に位置どった。このレースの1列目は、ケアンズの世界選手権をセカンドパック10番台で走るレベルの選手が占めている。
ジュニアのアルカンシェルを持つオーストリア選手の背を真っすぐに見つめる沢田選手。スタート寸前までタイヤのエアチェックをする平野選手。ワールドカップより層は薄いがレベルが高いこのレースによい緊張感が漂う。
チェーンは勿論、BB周辺もリムもタイヤサイドもグリーンドライブシリーズでコーティング。過酷な環境でも信頼できるXR9と、XTR、PRO、AXONの組み合わせもこうした状況になる程に大きなアドバンテージにかわる。タイヤは目詰まりを防ぐ銘柄を選択し、路面抵抗を軽減するためエアもシビアに設定。
号砲一発。スタートダッシュは完全にワールドカップのそれ。先ずはトルコナショナルチャンピオンと欧州勢が直ぐにトップ10を形成。1周目を終える段階で早くもブリヂストン2名を含む第二集団と10秒近いタイム差。特にオーストリア組が中心となって先頭パックがコントロールされ、2周回目も一向にハイスピードは落ち着かない。シンクロした激しいダンシングが繰り返された。
沢田選手はまずまずのスタートを決めたが、シングル進入口までに欧州勢に先行を許す格好に。トップ10選手から切り離され、前半は15位前後の選手と一緒に前を追う展開。路面がシングルのヘビーマッドが多いため中々前に出れないが、激坂ではバイクを担ぎ、毎周回ごと丁寧にライバルを追い抜いていく。このレースでバイクを担いで激坂をクリアするのは沢田選手ただ一人(スタート前にボトルゲージを外した)。スリッピーな中で際立つシクロクロスの高い技術に観客も沸いた。
平野選手は良いスタートを決めたが、スタート直線直後のコーナーでスリップダウンし、集団に飲み込まれてしまう。その後の狭いシングル区間で中切れが多発してしまい、思うように前に出れない展開。身体の調子が上がってきているだけに前半は我慢が強いられた。
中盤、先頭パックに変化が現れる。オーストリア組が中弛みなくハイスピードを維持したことでトップ10がバラけていく。逃げではなく、踏み負けて脱落していくのだ。各選手は下り坂にあるテクニカルフィードでボトルをとる余裕もなく、10名から7名、そして6名から4名とトップ集団は徐々に崩壊していった。
一方、先頭が見えない展開の中でも沢田選手はポジティブだった。過労によるパフォーマンス不足の先週CJ白馬から復調し、この日は、落ちてくる選手を確実に拾いながら高い集中力で12~13番手で前を追う。平野選手も縦に長く伸びたライバルを一人ずつパス。呼吸は非常に落ち着いていて確実に順位を上げてきた。
最終周回。オーストリアの2選手がレースを支配したまま他国選手を振り切り、同国同士でのゴールスプリントに持ち込んだ。Kari選手が勝利。続いてロシア、フランス、イタリア、イラン。やはりコンディションがどんなに悪くても実力のあるライダーは順当にフィニッシュしてくる。
結局、沢田選手は最後まで前の選手に詰め寄り、残り1kmで1選手をかわして11位でフィニッシュ。平野選手は中盤から後半までイーブンで切り抜けて16位となった。
これでチーム目標に到達。UCI30ポイントの獲得に成功した。ワールドレベルとの差に悔しさと希望を感じながら泥だらけの選手を迎えた。気付けばイスタンブールの古街はすっかり晴れて、夕焼けが妙に綺麗なトルコレッドに染まっている。
日本人UCIランキング、沢田選手は267点でトップとなり、平野選手は198点の3位。ブリヂストンチームは日本保有730ポイントのうち465点を占め、国別ランキングも3つ順位を上げて30位にアップ。
今週末はCJ富士見にテスト参戦し、来週は再びトルコの古都KONYAで行われるUCI-C2/C3の2連戦に向かい2017MTBシーズンを括りたい。
P.S.山本幸平選手、田中啓子さん、結婚おめでとう!!また飯山で。
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