2018年6月27日水曜日

W、Charlie Jeans


熊本で、たった一人の手で生み出されるチャーリージーンズ。
ここを初めて訪れたのは昨年10月。地震と豪雨による大きな災害となった熊本の復興支援とビジネスのために訪れたときのこと。友人から一人ミシンに向かい、ジーンズと向き合う人がいると聞き、復路のフライト前に伺った。見上げれば梁のある古い民家を改装したシンプルな空間にミシンやリベッターがあちこちに置かれている。ショップというより工房の雰囲気。店主がゼロから生み出すジーンズの魅力もあるが、きっとこの空間でコーヒーを飲みながら話す時間に大きな価値がある。優しく人懐こい笑顔の一方、職人ならではの芯のある雰囲気はここで過ごす時間軸を変えてしまう。あっという間に時間は過ぎていく。
構想から8か月。自分が求める機能を全部詰め込んだ世界でたった1本のジーンズが完成した。製作中、何度も投げ出したくなったと聞く。ポケットひとつとっても多くのサンプルとトライ&エラーがあり、1㎝に満たないパーツも何度も調整し直す。製作というよりゼロからの開発が繰り返された。
補強縫製されたベルトループは7本
接点は裏生地にも補強布
大き目の前ポケット内には親指のレストホール
リア右ポケット内にサブポケット
全ての縫い終点を改良
ポケット裏生地はそのままパンツ本体が作れるオンス
他にもチャーリーオリジナルの拘りが多く詰まっている。
「これからも何かあれば遠慮なく言ってください。でも2本目は無理かも知れません。型紙は保管しておきますけど。。」そう店主が苦笑いした。
さあて、準備はいいかな、チャーリーTRKWorks仕様。一緒に世界へ挑もう!
今日から欧州遠征がスタート。
イタリア、スロベニア、トルコへ。










2018年6月12日火曜日

W、ZERO days

3か月で10戦をこなしてきた今シーズンのレース活動は一旦休憩。日本にいる貴重な時間は「ゼロ」に費やす。
インターナショナルスクールのMTBクラスでは、多国籍の子供たち30名を深いブナ林へ案内。前日までの雨で決して容易ではないコースでも、悪戦苦闘を笑いと楽しさに変える時間は素敵だ。小雨のスタート。最初はテンション低めの子供たちも林の中でどんどん笑顔になっていく。やっぱりMTBは自然に遊ばれるから楽しいんだと。原点はここにある。
自分が本格的にレース現場に復帰したとき、ノローナからサポートされたウェアを久しぶりに引っ張り出してみた。ド派手なクレイジーパターンは画用紙にクレヨン全部を使ってスケッチしたよう。MTBを無心で楽しむために、固定概念に捕らわれないために用意してくれた絶版デザイン。確かに心が開放される不思議なウェアだ。
要職で小学校の運動会に招待された。来賓席から見るグランドと万国旗は数十年前と変わらない。開催の季節こそ変わってきたが、子供たちの全力走りや親家族を気にしてよそ見する姿も何も変わっていない。今の子供は違う!とよく言う人がいるが、子供が変わってきたのではなく、大人が子供を変えている。運動会は無限大の未来で溢れていた。
世の中は事件や事故、芸能、ワールドカップ、米朝首脳会談などニュースが尽きない。でも自分はあの災害復興のために現地に向かう。マスコミが全く報じなくなっているが、灼熱の太陽に照らされ、豪雨の騒音で眠れない仮設住宅での不便な生活が続く人々が非常に沢山いる。忘れてはいけない。継続することが最も大切なこと。
土を知ろう。もっと勉強しよう。自分が歩き、走り、蹴り、耕す土がどういうものなのかを。
ゼロを突き詰めたその先に見えるものが本物だと信じて。