2019年6月17日月曜日

O、KONYA MTB CUP UCI-C1

チームはギリシャ・レスボス島からトルコへ直行した。向かったのはトルコ中央部に位置するコンヤ。UCIクラス1XCOレースへの参戦のためだ。
このコンヤは、チームにとって相性が良い場所。全てのレースで表彰台と賞金を獲得している。一方、ライバルはイタリアのワールドカップライダーを筆頭に、トルコ・ウクライナ・カザフスタンの各ナショナルチャンピオンが揃う。そして満を持して挑戦してくるトルコ国内の若いエリートや欧州勢。アグレッシブなレースが約束されていた。
結果、平野選手が4位、沢田選手が7位でフィニッシュ。先週に続きUCIポイントを獲得。チームで41点を日本に持ち帰る。
平野選手は中盤のパンクやチェーントラブルを負いながらのレースとなったが、ポディウムも可能なアグレッシブな走りをみせた。全日本選手権に向けて順調な仕上がりと言える。
沢田選手は先週の疲労を抜き切れなく重い走りになってしまった。終始耐える走りとなったが、諦めることなくプッシュを繰り返し、トップ7に入る健闘を見せた。

コンヤのコースは独特だ。広大なピクニック公園とその周りの植林地を利用した4.25㎞。クルマで磨かれた平石を敷き詰めたコンクリート道路。植林された場所には縦横無尽の深い水切り溝。表層が滑るファイングラベル。重い芝生。無理矢理に造られたジャンプセクション。歩行用のフライオーバー。レイアウト自体はこの場所の過去と大差がない。
XCO決勝は日曜。チームは土曜の公式練習で入念に試走し、コースラインの確認、タイヤ選択、バイク調整を行った。

6月16日(日)13時、夏の日差しと急変しそうな雨雲が見える中、700m+4.25㎞×7Lapのレースが始まった。最前列には平野選手、2列目には沢田選手。ゼッケン№1のトルコチャンピオンらと共に30名超のエリート集団を引き連れてスタートループへ。ただ、エリート男子の前に、スタートループなしのジュニア、エリート女子がスタートしており、狭いセクションで渋滞。エリート内でも落車が発生し、チームの2選手は先頭からやや中切れの状況からレースが始まった。集団は大きく崩れることなくファーストラップを終えて2周目へ。
2周目、ライバルと見ていたトップ5が大集団から抜け出てきた。その後方に沢田選手、平野選手。1周目に狙っていたアドバンテージを渋滞で失った先頭パックは実質この2周目がスタートダッシュとなり、イタリア、ウクライナ、カザフスタン、トルコの高速列車が形成された。
3周目、平野選手は得意な個所でプッシュを連発。ダンシングも冴えている。順位をひとつずつ上げていき、この時点でトップ5を捉える位置へ。一方、沢田選手はガマンの走りを強いられていた。ノントラブル・ノンミスだが、身体の重さが見える走り。
4周目、この日、優勝するイタリア選手が強烈なアタック。ウクライナとトルコの両ナショナルチャンピオンが彼を追うが、あきらかにスピードが違う。平野選手はカザフスタンのナショナルチャンピオンをパスし、4位まで順位を上げてきた。動きはとてもいい。しかしここでクギを刺してしまいスローパンク。フィードでホイール交換してリスタート。沢田選手は単独7位で走行。30秒差でも前にいる選手の姿が見えないコースのため、どうしても自分との闘いとなる。レース展開が悪い場合でも、決して自分で結論付けないことをスタート前に約束した通り、諦めない走りで前を追った。
5周目、トルコナショナルチャンピオンがファストラップ。重い序盤とはまるで異なるアグレッシブな走り。そこにウクライナが食らい付き、ポディウムメンバーがレースを支配。平野選手は5位以下との差を広げながら3位のウクライナを追いかける展開。沢田選手は前にいる選手が機材トラブルで遅れているが、どうしても捕まえることができない。
6周目、イタリアの選手の一人旅は決定的になった。2位以下を大きく引き離していく。平野選手は3位の選手まで60秒前後。パンクで失ったロスタイムを消化する走りで前を追いかけるが、追い抜くジュニアや女子選手にマスクされ、思うようにラップが上がらない。沢田選手の独走も続く。後半に掛かってくれることを期待していたが、ラップを維持することでいっぱい。細かいミスをしないよう丁寧にコースをトレース。
7周目、イタリア、トルコ、ウクライナに続いて平野選手がファイナルラップに入った。その後方に八幡浜で活躍したカザフスタンの2選手、その背後に沢田選手。チームの2選手は地元の子供たちの声援を受けてフィニッシュラインまでレースをプッシュ。天気予報では高い確率で雨の時間帯だったが、コンヤの空はフィニッシュを夏の光で歓迎してくれた。

こうしてインターナショナルレースのポディウムに一歩ずつ近づいているのは、いつも変わらない支援と応援の賜物。
スポンサー、サプライヤー、ファン、家族、多くの関係者に感謝致します。
ありがとうございました。
チームは一時帰国し、再び欧州に戻り、続くUCIレースに備えます。

















2019年6月9日日曜日

O、Molyvos URBAN MTB UCI-C1XCO

ギリシャ・レスボス島での最終レース、Molyvos URBAN MTB UCI-C1XCO。ビーチもトラディショナルロードも観光客で賑わう日曜。チームにとっては金曜に閉幕したステージレースと同様にシーズンの重要な起点となるUCIクラス1クロスカントリーレース。
結果、沢田選手が10位、平野選手が11位となり、共にUCIポイントを獲得。2戦連続でポイントを確実に積み上げることに成功した。
チームにとってこのレースは今季25戦目。とは言え、我々の目指すシーズンレースは始まったばかりだ。フィニッシュしたレースを次へのエネルギーに変換し、モードは次の遠征地に向いている。
6月8日(日)11:00、気温30度の強い日差し。4.25㎞×7Lapのレースがスタートした。
コースは街中の細く粗い石畳と、不均一な高さと奥行きの石階段のヒルクライムとダウンヒル、古城まわりのラフなグラベル、急坂に藁を置いたシケインスラローム。これまで経験してきたどのXCOとも異なるコース内容で、まさしくURBANレース。
チームはスタートダッシュよりも、階段上りでの負荷の高い抜重や登坂トルクによる極度の体力消耗を考え、フィニッシュまでのストーリーを計算した。バイクのトラブルも避けなければならない。試走データに基づいて、可能な限りのセッティングを行った。
ステージング。先のステージレースでのUCIポイントが反映された新たな順番でコール。平野選手・沢田選手共に2列目に並ぶ。号砲一発、エリート集団はあっという間に石畳の路地に消えて行く。2選手はトラブルなくスタートし、集団の真ん中後方からレースを展開。
ギアチェンジの激しい音が住宅街の屋根を超えて僅かに聞こえてくる。見上げればMolyvosの古城。見渡せばエーゲ海。街全体がレースコースとなった。
1周目、トップ5ライダーがセカンドパックと10秒差。その後に数名のパックが断続的に入り、沢田選手は12番手の良い位置にいる。ただ、平野選手が来ない。フィードではホイール・チェーン・ディレーラーを準備。石階段のダウンヒルでリアタイヤをパンクさせてしまったようだ。直ぐに交換するもまだ1周目を終えたばかりの集団スピードはかなり速く、最後尾にも大きく遅れをとってしまう。
2周目、この日優勝することになるニュージーランド選手が単独で飛び出し、2位に30秒以上の先行。その後は4名、3名、2名のパック。沢田選手は落ち着いてレースを展開。フランス選手らの強豪を前後おきながら11番手。一方、平野選手は強烈なプッシュを繰り返した。トップのニュージーランド選手と同ラップ(ファスト)を叩き出し、15番手前後の集団にあっという間に追いついてきた。
3周目、転倒し負傷する選手、高温によりDNFを選択する選手が発生。レースの全体スピードも落ち着いてくる。沢田選手は前後の選手が入れ替わるも大きくペースを崩さない。9番手。平野選手は前周回で追いついた集団の先頭を引く格好で更に前を追う。14番手。
4周目、セカンドパック・サードパックが崩れはじめた。トップの逃げを容認しない意思が見え、トップ5は全開で踏んでいる。そこから30秒前後程の間隔でトップ10までがバラバラと位置している。沢田選手は前に追うべき選手が見えており、ペースはイーブン。10番手。平野選手は単独で前に飛び出し、徐々に順位を上げ、沢田選手が見える位置まで上がり12番手。
5周目、トップを行く選手のラップが落ち着き、それを追う3名の選手のラップが上がる。それによりポディウムを目指す選手が絞られた。沢田選手は完全に単独走行となり、10番手。平野選手は攻め続けた。この日の彼の脚はかなり掛かっており、走りはアグレッシブ。前にいる沢田選手との差をジリジリと詰めてきた。11番手。
6周目、沢田選手と、その前を行くフランス選手との差が20秒強ほど。しかし、その差は中々詰まっていかない。しかも1ミスで致命的な故障やケガをおう可能性が高いコース。集中力が重要になる終盤。沢田選手は若干ラップを落としたものの、粘りのある走りで10番手をキープ。平野選手はホームストレートのアスファルトでエアロポジションをとりながら少しでもラップを上げようとしている。終盤になってもラップを落とさず11番手。ダンシングにもキレがある。
7周目、ファイナルの鐘で観客の声援が更に大きくなった。フィニッシュ付近に観光客も立ち止まり、フィニッシャーを見守る。結局前半から逃げ続けたニュージーランド選手が完勝。トップ9までは先のステージレースでも活躍した選手たち。10番で沢田選手、その直ぐ後方から平野選手が11番でフィニッシュ。
中盤からのジャンプアップは叶わなかったが、ニュージーランド、イタリア、スイス、ポルトガル、フランス、ギリシャなどの強豪がいる中で、日本人の存在を示すことが出来たレースだったと思う。
多くの現地の人、観光客からBRAVO!と声を掛けてもらった。「また来年も来いよ!」「東京オリンピックでの走りを応援している」「日本人に会えて嬉しい」「いい島だろ、日本もいいところらしいけど」。。

とても長くて短い1週間。
遠い日本から、現地のファンから、本当に沢山の応援をいただきました。
チームは無事に計画と目標をこなし、次の遠征地、トルコに向かいます。
各位に感謝します。ありがとうございました。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは更に強くなります。






















2019年6月8日土曜日

O、Lesvos-Molyvos URBAN MTB UCI-S1


6月に入った。いよいよ東京オリンピック代表選考の掛かる1年間がスタート。
チームは八幡浜を終えてすぐに渡欧した。ギリシャはレスボス島のMolyvosPetraで行われるUCIステージ1UCIクラス1XCOにチャレンジするためだ。実質1週間で5レースを走ることになる。
先ずはステージレース。結果、4日間の総合は、沢田選手が9位、平野選手は18位を獲得。チームはUCIポイント70点を獲得し、オリンピック代表レースの先頭パックを走り出した。
チームの目標は、日本とアジアの頂点に立ち、来る東京オリンピックで活躍すること。選手の希望を叶えること。
戦うべき真の相手は自分たちの中にあり、それを具現化できる遠征を実現できたのはスポンサー、サプライヤー、ファン、家族、そして現地の大会スタッフの支援によるもの。感謝を勇気にかえ、日曜のXCOに再びアタックする。

ステージはXCTXCPXCMXCCのオーセンティックな組み合わせとなった。しかし、ワールドカップのポディウムライダー、ギリシャ・ポルトガルのナショナルチャンピオン、ヨーロッパ選手権のポディウムライダー、フランスU23チャンピオン、マラソン世界チャンピオンなど、エントリー数は少ないものの、かなりの強豪が揃った。強さとUCIポイントを追いかけるのにこれ以上のシチュエーションはなかっただろう。

古来の狭い石畳道、非常にガレた路面、トラクションの掛かり辛い砂利登坂、富士山の登山道のような動く鋭利な岩道。観客には最高のシチュエーションだが、選手にとっては相当の負荷が掛かる。こうしたレイアウトはじっくり滞在して攻略を練る時間があるほど速く走ることができるが、我々は1つのレースに多くの時間を費やさない。チームには6つの眼と3つの頭脳がある。全方位のセンサーをフル稼働し、チーム内は常に情報をアップデートし戦っている。

64日(火)XCT16
登坂基調の個人TT。スタート直後のダウンヒルからオンオフ交えた荒れた路面。パワーだけでなく、フィニッシュまでの走りを考える緻密さもないとタイムを稼げないコース。チームの2選手はTTが得意ではない。しかし、2日目からの中長距離系にマイナスにならない計算した走りが求められる。1分毎の個人スタート。UCIポイント保有数の少ない選手からスタートしていく。2選手とも前後によきライバルが並び、平野選手の後ろにはトップ7の強豪が犇めき合う。先ずは身体とバイクを順調に走らせることが優先。トップタイムはこのコースを熟知するマラソン世界チャンピオンのギリシャ選手が40分を切ってきた。チームはトラブルなく走り切り、沢田選手15位、平野選手17位でフィニッシュ。
総合でシングルリザルトを残すには、トップとのタイム差を3分以内に抑えたいところだが、プロローグでは及ばず、沢田選手4分差、平野選手5分差となった。

65日(水)XCP33
海水浴で賑わうPetraの海岸線からパレードスタート。リアルスタートから一気に激坂で、荒れたグラベルへと向かう。山岳の深くで1ループし海岸にリターンしてくるレイアウト。高低差は1200m。路面は硬く荒れてアップダウンを繰り返すため休み処は少ない。
2選手とも大集団の真ん中に位置してリアルスタート。
8.5㎞地点、早くもトップ5が先頭パックを形成してセカンドパックに1分以上の先行。大集団はあっという間にバラバラ。9番手までの選手は想定以上のハイペースを刻む。沢田選手は18番手、平野選手20番手。
24.5㎞地点、この日の覇者イタリア選手が大きく抜け出し、それをスイス・フランス・ギリシャの3選手が追う。その後続も2名・3名と前後の選手とパックになりながら進む。沢田選手はプッシュを繰り返し要所でアタックを決めながら12番手まで順位を上げてきた。平野選手は落ちてくる選手を拾いながら19番手。二人はこの順位のままフィニッシュ。
総合では沢田選手12位、平野選手18位。

66日(木)XCM61
前日に続きPetraの海岸線から望む山岳と初日のXCTコースを合わせた大きなループを2周回。矢じりが出来そうな鋭利な岩がゴロゴロ転がるとても危険なダウンヒル、パワーを奪う石畳、フィニッシュまで直射日光を受け続ける日陰のないコース。マラソンの過酷さを助長するレイアウト。短いパレード走行後、狭い石畳でリアルスタート。平野選手・沢田選手とも前で位置取りするが、やはりトップ5はパワフル。このレースも彼らが支配。
1周目、平野選手はかなり速い。先頭パックの後方8番手で帰ってきた。すぐ前にポディウムメンバーがいる絶好の位置。身体の動きもいい。他国のスタッフも「WAOBRIDGESTONE!」と声援を送ってくれた。一方、沢田選手の走りは重く15番手前後のパックで通過。
2周目、沢田選手がようやく掛かり始めた。短い臨時列車を次々に乗り換えながらゼッケン1の前に出て8番手まで上がってきた。平野選手はエネルギー消耗が激しくペースダウン。しかも最もリスクのある場所でパンクし、荒れた岩場を数百メートル走ってフィードへ。ホイール交換してフィニッシュに向かった。2時間半に及ぶレース、沢田選手は8位、平野選手は14位でフィニッシュ。総合ではそれぞれ9位、17位と順位を上げた。

67日(金)XCC2.4×20min+2LAP
ステージで最も遅い18時のスタート。スタート直前に45分間から20分間+2LAPに変更された。このコースは抜き処・休み処が殆どない上に短時間の決戦。スタートグリッドがレースを大きく左右する。沢田選手2列目、平野選手4列目。
チームは総合成績と存在感を求め、このレースは落車したりDNFにならないことを優先。
レースはスタートからアタック合戦となった。総合トップ51周目から全開。沢田選手は8番手、平野選手は17番手でレースが始まった。
沢田選手は超高速列車に乗っていたが先頭が速すぎる。徐々にパックから引き離され順位を下げてしまうが、最後までプッシュをやめなかった。
平野選手はほぼ最後尾スタート。単独にならないよう、前方の選手をポジティブに追いかけるものの、中々ジャンプアップが叶わない。
結局、沢田選手は13位、平野選手18位でフィニッシュ。
同時に4日間のステージは全て終了。総合成績で沢田選手が9位、平野選手が18位となった。

土曜は休息日。そして日曜はXCO。レスボス島での最後のレースに挑む。

TEAM BRIDGESTONE Cyclingへの応援がとても大きな力になっています。
引き続きの応援を宜しくお願いします。