2017年10月23日月曜日

R、KONYA CUP DAY2 UCI-2

トルコ KONYA CUP第2日目、UCI-C2レースが昨日と同じコースで開催された。
結果、アンカーは連日のポディウム獲得に成功。平野選手が3位となりUCI15ポイントを、沢田選手は6位で8ポイントを獲得した。
アンカー以外のポディウムメンバーは昨日と一緒。ロシアチャンピオンAnton選手が連勝し、トルコチャンピオンのAbdulkadir選手は地元の大声援の中で2位となった。
二日目もKONYAは朝から快晴。気温は朝方こそ7度と寒いが、日中は22度となり空気は極度に乾燥している。トルコ入りしてから1週間雨は一滴も降っていない。
コースは石灰質土壌のそれ。バイクはあっと言う間に白灰のパウダーで覆われてしまう。連戦からくる呼吸と肺へのダメージもあり、決して快適な状況ではない。
コースは新しい公園に特設されている。石畳風のコンクリート路が多用され、段差には急遽丸太が置かれたり、登りにコンクリート階段があったり、林間コースとなる松林は客土と腐葉土で覆われているため、レースと共に路面が荒れて変化していく。そして日本ではあり得ない環境に加え、ポディウムを狙うメンバーは日本人の上を行く選手たち揃う。レースは最高気温となった13:30定刻スタート。日曜ゆえピクニック(トルコでは頻繁)に訪れる人で公園が賑わい、UCI-C2とあってトルコの自転車ファンも多くかけつけていた。
号砲と共に平野選手が抜群のスタートを切る。昨日の落車のトラウマがあると語っていたが、あえて同じポジションでスタートするよう促した。彼の得意なダンシングが集団を引き連れ、スタートループ+7周回のエリートレースが始まった。
1周目、カザフスタンのエースKirill選手、ロシアAnton選手、平野選手と早くも3名が飛び出し、トルコAbdulkadir選手がそれに続く。昨日の疲労はかなりあるはずが、平野選手の動きはよくパワーも出ている。一方、沢田選手は5位集団の中で自分の走りに集中する。
2周目、Anton選手とAbdulkadir選手が先頭パックを形成し、1周目のファストラップを維持して3位以下を引き離しに掛かる。平野選手はこれを15秒差で追いかける。沢田選手は得意なセクションをうまく使って消耗を最小限に抑えながらガマンの展開。
3周目、やはりAnton選手とAbdulkadir選手がランデブーしながらフィードに戻ってくる。平野選手はこの2名に遅れはじめ30秒差に拡大。沢田選手はラップが落ち着き始め、縦長になった4-6位の中でレースを進める。
4周目、Anton選手が完全にレースを支配。苦しい表情のAbdulkadir選手が後ろにピッタリとついているが、平常呼吸のような涼しい顔で走っている。ラップは落ちない。一方、平野選手は45秒差まで拡大する先頭に対してもポジティブさを失わず追いかける。沢田選手は4-5位の選手から徐々に遅れ始める。
5周目、Anton選手とAbdulkadir選手が平野選手との差を60秒まで広げる。単独で追いかける平野選手にトルコの子供たちも声援を贈ってくれるようになった。沢田選手は単独6位。
6周目、Abdulkadir選手がAnton選手のプレッシャーから遅れ始める。平野はイーブンペースで3位をキープ。沢田選手は苦しいながらもレースを諦めない走りが続く。
7周目ラストラップ、Anton選手が猛烈にアタック。Abdulkadir選手を完全に切り離してフィニッシュへ。平野選手は見通せばAbdulkadir選手が見えるポジションで3位、沢田選手は単独になってもペースをキープしながらの6位でフィニッシュ。
これでブリヂストンアンカーサイクリングチームのMTB2017シーズンレースが全てフィニッシュとなった。UCI合計27ポイントを日本に持ち帰り、オフシーズンに入る切符を手にした。
ラストウィークのUCIレースで2日連続のポディウム。嬉しくないはずがない。過酷だったシーズンも瞬時にリセットされたような気持ちになる。KONYAの素晴らしいホスピタリティと快晴の空がそれを更に。。
表彰式では綺麗な紙吹雪が舞った。これで本当にシーズンが終わったんだなと感慨深く思うと同時に、2018へのモチベーションが湧いてくる。

長い2017シーズンを沢山の方々に支えて頂きました。ファン、スポンサー、サプライヤー、関係者、そして家族に心から感謝します。
Teskkurler!!
ありがとうございました。












2017年10月22日日曜日

R、KONYA CUP DAY1 UCI-3

2017MTBシーズンの最終週をトルコで迎えている。古都KONYAで開催されるKONYA CUPをアンカーの最終レースに選んだ。ここはCJ最終戦が山口県で開催される週末と重なるが、アンカーは日本唯一のUCI公認チームとして、2018そして2020に向かって挑戦すべき立場として、時間と場所をここに定めた。2週間ぶりにトルコに戻ってきた格好だ。
結果、スタートループ+5㎞×8周で争われたタフな土曜のUCI-C3レースで、沢田選手が3位となり、ポディウムとUCIポイント4点を獲得した。優勝はロシアのエースAnton選手。2位はトルコチャンプAbdulkadir選手。平野選手はスタート直後の落車でリアエンドを変形させ、ピットで修理後は全体最速ラップをたたき出して9位に入った。
快晴に恵まれたKONYA。素晴らしい品質の広大な公園を舞台に土曜と日曜のUCI連戦。しかも同じコースで開催される。世界でも稀な運営体制だろう。選手にとっても何処に目的をもって挑むのかでレース運びは異なる。
「土曜のUCI-C3レースでポディウムに登ることが、日曜のUCI-C2に挑む意義を増す」そう選手に話した。ポイント獲得だけが目的なら、5名にしか与えられない低ポイントのC3レースは、10名にチャンスのある高ポイントのC2レースに向けての調整で良い。しかしチームが求めるのはそうではない。日本国内では得ることのできない非常なコース、強烈なライバル、理不尽な環境とストレスフルな情報の中で、最強の自分を覚醒させることが出来るか否かを選手とチームそのものに問うのだ。
13:30。ゼッケン4番と6番のアンカー2選手は1列目スタート。
1周目。平野選手が抜群のロケットダッシュを決めトップで直角コーナーに進入した。しかしコーナー直後にタイヤグリップを失い転倒。リアエンドとリアディレーラーを破損し、最後尾でピットへと向かう。
沢田選手はスタートに失敗し集団に飲み込まれてしまうが、登りでプッシュして先頭集団に加入しベストな位置で1周回目に入った。
2周目。平野選手は全体のファストラップを叩き出す。一人ずつパスしながらシングルリザルトを狙う。沢田選手はレースを牽引するAnton選手とAbdulkadir選手を直ぐ先に捉えながら3位パックをリード。
3周目。平野選手は相変わらずファストラップを示す。フィードもザワツク程のプッシュで11位前後にまで順位を上げる。沢田選手は得意部分でラップを稼ぎながら先頭と30秒差。
4周目。平野選手は6-9位パックに合流。沢田選手は周辺の3名の選手を振り切り単独3位に。
5周目。平野選手が集団と同調し8位前後で展開。沢田選手は後ろに見えるライバル選手を意識しながら3位をキープ。
6周目。平野選手は集団を崩壊させることができず。沢田選手は先頭とのタイム差を縮める。
7周目。平野選手は9位でファイナルラップへ。沢田選手はポジティブな走りを緩めず3位でファイナルへ。
8周目。荒れたコースが平野選手の身体にダメージを与え続けるが、9位でフィニッシュへ。沢田選手は疲労が見えるものの、最後までプッシュし続け3位で戻ってきた。
出走したエリート男子の中で1時間45分以内は優勝者1名という非常にハードでタフなレースとなった。
明日はシーズンラストレース。身体へのダメージ云々から限界を想像するのではなく、自分を決めつけず、心を燃やして最高の日曜を迎えたい。










2017年10月11日水曜日

R、イスタンブールUCI-HCレース

トルコ・イスタンブールで開催された今季最後のUCI-HCに参戦。結果、沢田選手が11位、平野選手16位となり、チーム目標のUCIポイント30点の獲得に成功した。
先月末、トルコでのUCI公認3レースの計画が実現されるとの現地連盟の案内を受け、チームはスポンサーや関係者の理解と協力により、国内CJシリーズをキャンセルしてUCIレースを優先することを決めた。アンカーはUCIチーム。このレースがどれだけ2018シーズンに大きな意味を持つかを知っているゆえだ。
先ずはイスタンブールでのハイクラス。そして2週間後には古都Konyaでクラス3、クラス2レースが同会場で連戦となる。
イスタンブールはインフラが発展途上。アパートもホテルも高層ビルが多く、人口が超過密で道路は人が歩くことは勿論、自転車ではとても走れない。郊外に出ても中々トレーニングに相応しい場所は見つからないため、レース会場が唯一のトレーニングエリアとなる。チームはレース2日前に会場入りし、どの国よりも早いコース試走を実施。ドライなら3800mのコースはラップ9分台のハイスピードコース。シクロクロスに似たレイアウトで、欧米のような縦の激しいロックセクションはない。しかし、天気予報が当たり、一旦雨が降ればどれだけ路面が荒れるかは予想していた。
レース当日。流石はハイクラスレース。イスタンブールにはオーストリア、イタリア、フランス、ロシア、ギリシャ、イランなどからワールドカップ、世界選手権で10~20番台に入るハイレベルなメンバーが揃った。しかも前日深夜から当日朝までの多雨で、牧場とピクニック公園を使った柔らかい石灰粘土質のコースは、自転車が走ることを拒む非常に粘りつくマッドコースに変貌。(トルコアイスだったらいいのに)試走とは全く異なるハード・タフなレースになることは誰もが理解した。
これにより100%乗車出来る選手は一人もいない。そしてマッドタイヤを持ち込めた選手もいない。併せて午前に行われたトルコ国内カテゴリーレースで路面は更に悪化。レースキャンセル寸前の悪路になっていった。チェーン切れ、エンド割れ、ディレーラー破損、パンク、フレーム折れ、とあらゆるトラブルが続発。タイヤが泥でロックしていまい立ち止まりながら泥を排除したり、ホイールを引きずりながらバイクを押す選手も多発した。
それを横目に、チーフCOM、トルコ連盟スタッフと何度も情報交換を試みた。エリート男子は3800m×9周がテクニカルミーティングで公表されていたが、みるみる変わる状態に全てのCOMが軟化し、8周回と泥深い箇所をショートカットすることで結論づけられた。
チームの二人は、ゼッケンNo.17、19。2列目に位置どった。このレースの1列目は、ケアンズの世界選手権をセカンドパック10番台で走るレベルの選手が占めている。
ジュニアのアルカンシェルを持つオーストリア選手の背を真っすぐに見つめる沢田選手。スタート寸前までタイヤのエアチェックをする平野選手。ワールドカップより層は薄いがレベルが高いこのレースによい緊張感が漂う。
チェーンは勿論、BB周辺もリムもタイヤサイドもグリーンドライブシリーズでコーティング。過酷な環境でも信頼できるXR9と、XTR、PRO、AXONの組み合わせもこうした状況になる程に大きなアドバンテージにかわる。タイヤは目詰まりを防ぐ銘柄を選択し、路面抵抗を軽減するためエアもシビアに設定。
号砲一発。スタートダッシュは完全にワールドカップのそれ。先ずはトルコナショナルチャンピオンと欧州勢が直ぐにトップ10を形成。1周目を終える段階で早くもブリヂストン2名を含む第二集団と10秒近いタイム差。特にオーストリア組が中心となって先頭パックがコントロールされ、2周回目も一向にハイスピードは落ち着かない。シンクロした激しいダンシングが繰り返された。
沢田選手はまずまずのスタートを決めたが、シングル進入口までに欧州勢に先行を許す格好に。トップ10選手から切り離され、前半は15位前後の選手と一緒に前を追う展開。路面がシングルのヘビーマッドが多いため中々前に出れないが、激坂ではバイクを担ぎ、毎周回ごと丁寧にライバルを追い抜いていく。このレースでバイクを担いで激坂をクリアするのは沢田選手ただ一人(スタート前にボトルゲージを外した)。スリッピーな中で際立つシクロクロスの高い技術に観客も沸いた。
平野選手は良いスタートを決めたが、スタート直線直後のコーナーでスリップダウンし、集団に飲み込まれてしまう。その後の狭いシングル区間で中切れが多発してしまい、思うように前に出れない展開。身体の調子が上がってきているだけに前半は我慢が強いられた。
中盤、先頭パックに変化が現れる。オーストリア組が中弛みなくハイスピードを維持したことでトップ10がバラけていく。逃げではなく、踏み負けて脱落していくのだ。各選手は下り坂にあるテクニカルフィードでボトルをとる余裕もなく、10名から7名、そして6名から4名とトップ集団は徐々に崩壊していった。
一方、先頭が見えない展開の中でも沢田選手はポジティブだった。過労によるパフォーマンス不足の先週CJ白馬から復調し、この日は、落ちてくる選手を確実に拾いながら高い集中力で12~13番手で前を追う。平野選手も縦に長く伸びたライバルを一人ずつパス。呼吸は非常に落ち着いていて確実に順位を上げてきた。
最終周回。オーストリアの2選手がレースを支配したまま他国選手を振り切り、同国同士でのゴールスプリントに持ち込んだ。Kari選手が勝利。続いてロシア、フランス、イタリア、イラン。やはりコンディションがどんなに悪くても実力のあるライダーは順当にフィニッシュしてくる。
結局、沢田選手は最後まで前の選手に詰め寄り、残り1kmで1選手をかわして11位でフィニッシュ。平野選手は中盤から後半までイーブンで切り抜けて16位となった。
これでチーム目標に到達。UCI30ポイントの獲得に成功した。ワールドレベルとの差に悔しさと希望を感じながら泥だらけの選手を迎えた。気付けばイスタンブールの古街はすっかり晴れて、夕焼けが妙に綺麗なトルコレッドに染まっている。
日本人UCIランキング、沢田選手は267点でトップとなり、平野選手は198点の3位。ブリヂストンチームは日本保有730ポイントのうち465点を占め、国別ランキングも3つ順位を上げて30位にアップ。
今週末はCJ富士見にテスト参戦し、来週は再びトルコの古都KONYAで行われるUCI-C2/C3の2連戦に向かい2017MTBシーズンを括りたい。

P.S.山本幸平選手、田中啓子さん、結婚おめでとう!!また飯山で。