2016年7月31日日曜日

T、リオ

リオが始まる。
既に多くの選手やスタッフ、関係者がリオ入りしている。
4年に1度の大舞台。その舞台に立つまでのプロセスに関わる人々、愛情、友情を知る。
純粋に、真っ直ぐに、全力でスポーツする場として、この舞台にたつ意義は大きい。そして、それは多くの人の心をつかむ。
自己利益のためにこの機会、選手との関係性を利用する人が沢山いる。けど、最も大切なのは、人の可能性を極限まで引き出す挑戦者のために、真摯に自分に何ができるのかを問うことだろうと思う。
マウンテンバイク・クロスカントリー・オリンピック日本代表、山本幸平選手。
今年2月、ワールドカップライダーが集結したキプロスでのステージレースを共に戦い、3月はアンカーチームとのトルコ合宿とUCI3つのレース。
そしてケアンズでのワールドカップ開幕戦15位の走り、アジア選手権タイでの8連覇の走り、世界選手権チェコでのハードな走り。
オリンピックシーズンの大切な半年間、彼と多くの時間を過ごした。辛いことも嬉しい時間も共有した。日本人が誰も到達していない領域を開拓するトップライダーとのファンな時間は、至福であり緊張の毎日だった。
そして、彼は常に自分自身に挑戦する、とても優しくて出会いと礼儀を重んじるトップアスリートだということを知った。
彼は必ずリオの舞台で躍動する。
自分は心から応援したい。
粋よく、幸平!







2016年7月25日月曜日

T、地蔵尊

地元の人々、信者にとってとても大切な十王堂。
既に前回の大改修から48年が経とうとしているその堂内には「延命地蔵」が安置されている。
先の大改修では自分の祖祖父が携わり、6年前には現代の修繕を行うべきと父が当時の区長に集団答申したが、その願いは叶わなかった。
それから堂の傷みは益々進行した。
この延命地蔵尊にはある言い伝えがあり、堂は24時間365日解放している。扉をつくることはない。従って床や板壁など傷みの進行は早い。
今年、自分は区長になった。村人全員との真摯な話し合いを重ね、ようやく堂の修繕を開始する。
セミの抜け殻があちこち見れる。日射しの強い暑い夏の日。遷座式を終えた。
延命地蔵様のご加護が、これからも多くの人々に、多くの機会にありますよう。




2016年7月18日月曜日

T、全日本選手権決勝

2016年マウンテンバイク全日本選手権が閉幕。
結果、TREK山本選手が優勝。ANCHOR平野選手は2位。
小雨・曇り・晴れを繰り返す不安定な天気の富士見パノラマリゾート。ここでの決戦は数えきれないけど、やはり全日本の日は特別な空気に思える。だからやっぱり前夜は寝れなかった。もう引退してから20年が経とうとしているのにまだ自分がスタートするような、未知の冒険に向かうような緊張感がある。
山本選手は本調子ではなかった。でも彼にはすべてのネガティブ要素を化学変化させてしまう底力がある。平野選手は出来ることをすべて尽くしてここまできた。だからスタートループ+6周回では平野選手のフルパワーで山本選手の化学変化を止めることが出来るか否かにかかっていた。
コース脇ではアンカーファンも平野ファンも家族もいる。支えるスタッフもフルメンバー。
平野選手は的確にプッシュした。ベテランらしく落ち着いてレースを進める。彼にとっては山本選手と先頭パックを形成したBH中原選手は眼中にない。最強の山本選手を倒さないとならないことだけに集中していた。
中間3周回は山本選手と同ラップを刻み、4周回目からは中原選手を置き去りにしてポイントポイントではファストを出す積極的な走りをみせてくれた。既に3位以下はまったく見えない。
でも、それでも山本選手を捉えることは出来なかった。
表彰式が終わり、多くのブースが畳まれ帰路についていく。駐車スペースが少なく狭いと思っていた駐車場がこんなにも広大だったと気付く祭りの終わりのような風景。
全員でチームミーティングを終え解散したのに平野選手は真っ赤な眼でそっと自分の車の陰に来た。
分かっている。一緒に行こう。
その苦労は一緒に買ってやる!
7月17日は梅雨が明けそうな綺麗な夕陽だった。
沢山の期待に応えられなかった悔しさと同時に、素晴らしいサポートを頂いたスポンサー、サプライヤー、ファンの皆様、仲間に感謝したい。
皆さん、応援をありがとうございました。







2016年7月14日木曜日

T、全日本選手権に向けて

2016マウンテンバイク全日本選手権。
年に一度、たった1レース、たった1時間半で、ただ一人の勝者を決する全日本選手権。
この大会は、表彰台に上るだけでは意味がない。2位も10位も50位も同じ敗者。
それゆえ、この大会は特別であり、この瞬間のために多くの犠牲、協力、理解、努力が費やされいる。
家族も、ファンも、スポンサーも、スタッフも、選手と一緒にスタートしフィニッシュする。
今日、アンカーはXCOチームとして会場一番乗りした。そして、沢田時は同時刻に世界戦で骨折した箇所を手術した。
1秒でも速く。
それは全日本での勝利も、ケガからの復帰も同じ。今出来る事を妥協なく行うことに躊躇いはない。
チームブースでは、コンポーネンツもタイヤもフォークも、全てを新しく組める態勢を常に整えている。会場となる富士見パノラマスキー場。コースウォークだけでなく、チームスタッフも試走に入り、あらゆる状況をシュミレートしている。
7月17日(日)14:30、エリート男子スタート。
どうか、アンカーを応援してください。平野星矢は皆さんの応援を糧に素晴らしい走りを魅せます。沢田時は必ずや強く進化して復帰します。








2016年7月12日火曜日

T、柱松行事

3年に1度、7月中旬の日曜日、小菅神社では柱松柴灯神事が行われる。
その前週は、祭りの象徴となる2本の柱松建て。
この小菅神社は、戸隠や飯綱と並ぶ北信濃の三大修験場として繁栄した由緒あるところ。あの上杉謙信もここで必勝祈願の願文をあげている。
柱松行事(祭り)は国重要無形民俗文化財となり、この地域そのものも国重要文化的景観に選定されている。しかし、現在は高齢化のすすむたった60戸の小菅集落と、その周辺の縁の深い集落が1400年の歴史を守り引き継いでいる。
自分もこの準備に向かった。
柱松となる草雑木は村総出で刈り取り、締め縄は深い山中に地生えする山ブドウ蔓を使う。この祭りで使う長くて丈夫な山ブドウ蔓は、隣の集落が担当し、何年も掛けて守り育てて持参する慣わし。
2本の柱松も、作業も、どの集落がどう分担するかは決まっており、重機も人工物も使用せず自然のものを人の力だけで建立する。
そう、本番の祭りも素晴らしいのだが、この準備での人々の動き、言動にとても感動する。
喧嘩が起きる。「そうじゃない、こうしろって言ってるだろ!」「何やってんだ!」「どけっ!」
純粋に、全ての人がこの柱を天に向かって立たせることのみを思い、一心不乱で何時間も格闘している姿。
女性も大汗をかいている。硬い山ブドウ蔓を槌で数時間もたたき、柔軟性を与えて縄として使えるように加工している。
年寄りの知恵と経験から来る意見は的確で、若者のパワーだけでは決して敵わない。
柱松が建てられた。
ほんの少しだけ神に触れたような厳かで爽やかな気持ちのよい週末に感謝。













2016年7月6日水曜日

T、世界選手権

2016マウンテンバイク世界選手権チェコが終了。
結果、Japan national team は、XCR(チームリレー)は16位、XCO(個人)は唯一完走した山本幸平選手の41位が最高位。
エリート男子3名、U23男子3名、ジュニア男子3名、エリート女子1名、スタッフ5名、合計15名のチームは、チェコでの1週間を18世紀に建てられた農家納屋を改装したペンションで共に過ごした。ここは日本国旗が掲げられ、チーム貸切りとなり、日に日に我が家のような空気に変わって行った。
滞在先はノヴェームニュスト。飯山と幕別を足して割ったみたいだと山本選手とも話した雰囲気。朝晩は寒く、日中は夏日前後。高齢者も小さな子供もいる田舎。冬になればクロスカントリースキーのメッカとなる。
レース会場までは8km。歩いていける範囲にスーパーなど商店街はなく、食事が付かないから自炊。特に包丁を扱えないメンバーもいるジュニア世代は苦労したろうと思うが、強い先輩ライダーの生活を見ながら過ごした時間は貴重だったに違いない。買い物ひとつドキドキだったろう。この街は英語すら伝わらない。人としてのコミュニケーション能力が試される場面が散らばっていた。
一方、スタッフと選手、選手と選手の信頼関係は日毎に増して行った。個がチームになっていく様。厳しい社会から見たら、まだまだ甘く課題だらけのジャパンチームだけど、素晴らしくピュアでシンプルな目標を共有化する集団であることは確か。目付きまで似てくるから不思議だ。
でも、今回の世界選手権のリザルトが示すとおり、日本人は世界に通用していない。進化の止まらないレースレベル、世界との格差にどう立ち向かうか。
今からできること、今からやめること。
選手とスタッフが共に成長することが必要だし、個々の日常生活がいかに健康で充実するが重要だと強く感じた。
レースまでのアプローチを確実に満了し、勇気と責任を持って世界に果敢に挑まないとその格差は一向に縮まない。
自分に何が出来るのか。
チャレンジャーで行こう。