2019年5月26日日曜日

O、Yawatahama UCI-C1XCO

八幡浜インターナショナルMTBレース。
日本国内で唯一のUCIクラス1であり、チームにとっては全日本選手権とTokyo2020TestEvent(プレオリンピックレース)を除くと唯一の国内レース。
結果、平野選手6位、沢田選手9位。UCIポイントこそ獲得したものの、残念ながら惨敗であった。
2月から遠征をスタートしたチームは、ここまで19レースデイ(4ステージ、3XCO)を戦ってきており、八幡浜は20戦目。シーズンの大きなポイントとしてこの日を重要視してきた。この日、優勝したKirill選手とも多くのレースを共に戦い、ここまで彼には背中を見せ続けてきた。
タフな海外のステージレースで課題を浮き彫りにし、それをひとつずつ丁寧に解決しながらXCOでのパフォーマンスを磨いてきた。しかし、やはりレースは魔物。今日は我々の日ではなかった。
”灼熱”という言葉も嘘にならない湿度の低い夏日。路面は新たに投入した客土が落ち着いておらず、極度に乾燥したパフパフ状態。しかし、固い路面に変わりはなく、鋭利な石も顔を出し、コースはここ数年定着してきたレイアウトを変更している。正直、全体の流れは途切れ、パームも低く短く、グランドですらシクロクロスのようなコーナーが多用される。一時も気の抜けないコースで抜きどころも限定される。
トップ8が最前列。UCIポイント順でステージング。CJゼッケン2の前田選手、カザフスタンの2選手に続き、平野選手が4番、沢田選手が5番コール。
13:30定刻、号砲と共に55名のエリート集団は大きな落車もなくスタート。7ラップの激しい戦いが始まった。平野選手、沢田選手とも大きなミスなく先頭集団でコースイン。スタートから暫くは舗装路だが、土煙が上がるほと,集団のペースはかなり速い。
1周目、沢田選手が積極性をみせ、コース後半を先頭パックに立って牽引。余裕もありアグレッシブだ。平野選手はカザフスタン選手にマスクされる形で5番手パック。
2周目、このレースのポディウムを獲得することになる先頭パックはラップを落ち着かせることなくプッシュ。滑る路面で転倒も発生。沢田選手は先頭パックから遅れ始める。平野選手、走りは悪くないものの中々前に行けない。
3周目、スタートから見せていたパワフルな走りがスポイルされ、沢田選手が更に遅れていく。その後方からはラップを上げてきた平野選手が近づく。
4周目、レースは前田、中原、カザフスタンがコントロール。その後ろでは平野選手が30秒差で追う展開。沢田選手は余裕がなくなり、徐々に順位を後退させてしまう。
5周目、気温がかなり上がり、熱中症のリスクが増してくる。どうも沢田選手の様子がおかしい。順位は8番手。平野選手は緩急を付け、水でクーリングしながら安定した走りをみせて6番手。
6周目、先頭パックが崩れ、カザフスタンの2選手がトレイン。平野選手はガマンの走りが続く6番手。沢田選手は更に順位を下げ9番手。
7周目、驚異的なファストラップで前田選手に追い付いたカザフスタン選手が先頭に立ち、同タイムのスプリントに競り勝ってフィニッシュ。平野選手は最後までプッシュし、前にいる選手とのタイムギャップを埋めていくが順位を上げることは叶わず6位でフィニッシュ。沢田選手は軽い熱中症になりながら9位でフィニッシュ。
たった20名の完走者となったタフなレース。残念ながらチームの目標であったワンツーを果たすことが出来なかった。
スポンサー、サプライャー、ファン、家族に感謝する反面、このレース結果を真摯に受け止めたい。そして、全ての課題を次に向かう勇気に換えたい。
沢山の応援をありがとうございました。
チームは再び欧州に戻り、シーズン最大の目標に向かって前を向いていきます。









2019年5月12日日曜日

O、Portogal Cup #3 FUNDAO UCI-C1

セルビアでのステージレースを終え、間もなくスペインを経由してポルトガルへ。チームはFUNDAOで開催されたポルトガルカップXCO第3戦UCI-C1にエントリー。
結果、沢田選手が11位(エリート7位)、平野選手が17位(エリート12位)となった。
強い欧州勢のいる中で、UCIポイントを確実に積み上げ、現在のシーズンベストを魅せること、というチーム目標。今回は沢田選手はそれを苦しみながらも達成し、平野選手は体調が上向きなだけにアンラッキーなレースとなった。日本の国別ランキングにも貢献できた格好で、今できる全てを尽くした結果だ。
ここFUNDAOはリスボンとポルトの中間に位置するサクランボの名産地。スペインとの国境に近い穏やかな街。ポルトガルのそれに多い石畳の中心街と緩やかな丘、遠くの山には残雪が見える。会場は街を見下ろす高台の広大な公園にある。
コースはこの公園に常設されるBTT(ポルトガルではMTBをBTTという)専用コースとトレッキングルートを組み合わせた登坂とコーナーの多いトラック。ロック、ドロップ、バンプ、砂利。シクロクロスを思わせるタイトコーナーと古道のシングルトラック。決して最新の、流れを考えたレイアウトとは言えないが、MTBをこよなく愛するスタッフが一生懸命に引いたラインだということがよく分かる。
一方、脚を休める区間がないため、スタートからパワー合戦になることは明白。一列棒状になり、中切れを起こしたら大きく先行を許してしまう危険なコースだ。
チームはレース3日前に会場入り。コーステープのない場所はオルガナイザーの情報を基に入念なコースチェックを行った。
チームとしては、かつてポルトガルを経験していることから、この地での相性は悪くない。食生活も人柄もよく分かっている。今遠征の借家オーナーも、毎日我々を心配してくれ、とうとう新品の洗濯機まで購入してくれた。お互いに不慣れな英語を介して、心が通じることで言葉を大きく乗り越えていく。
選手にとっては生活が安定することで厳しい遠征が続いてもレースに集中することができる。こうした遠征先での出会いや関係づくりも大切なパフォーマンスと言える。
5月12日(日)快晴の真夏日。14:30スタート。4.2㎞×7Lapの熱いレースが始まった。
公道を閉鎖してのアスファルトスタートから緑豊かな公園の森へ。ポルトガルチャンピオン、スペイン勢、ギリシャ勢を先頭パックに62名のエリート集団が全開でコース奥へと向かう。平野選手は最前列、沢田選手も2列目とスタート位置は申し分ない。
スタート間もなく一列棒状となり、序盤からの激しいダンシングに沿道の観客もMCも興奮している。路面は硬くパフパフ状態。平野選手、沢田選手ともトラブルなくスタートしたが、地元勢の強いプッシュに圧迫され、2人そろって14番手前後のポジションでフィードに入ってきた。しかし、ここで平野選手が降車。リアタイヤを岩に何度もヒットさせていたため、エア圧を確認してからリスタート。20番手程まで順位を下げてしまう。
2周目、シングルゼッケンの地元勢が速い。ポルトガルチャンピオンを主軸に先頭パックは3名となり、かなりのハイペース。沢田選手は全開の前のパックを追う走りで14番手前後をキープ。平野選手はフィードゾーンに入り、ここでホイール交換。更に順位を落としてしまうが、冷静にリスタート。
3周目、先頭パックはまだ崩壊しない。先頭交代しながら後続を寄せ付けない。沢田選手は前後の選手とパックを形成できないが、見える前の選手を追う展開。パンクやDNFが発生しはじめ、12番手まで順位を上げて行く。平野選手はようやく落ち着き、彼本来の走りが見え始め、順位をひとつずつ上げての18番前後。
4周目、トップ争いのラップだけが抜けて速い。セカンドパックも崩壊しバラバラになっていく。沢田選手は単独になりながらも攻める姿勢は崩れず、12番手を維持。平野選手は3度目のピットストップ。あまりに暑いため、脚を停め、掛水と給水を行ってからリスタート。そこから全開でファストラップを出して順位を戻し、18番手。
5周目、30度近い暑さ、パフパフの路面から突き出る岩、ゴロゴロと動く石群などが影響し、疲労と共に落車が増えてきた。選手のウェアに土汚れが目立ってきていることで分かる。沢田選手は積極的にプッシュしているが、中々前の選手との差が縮まらない。平野選手はプッシュを繰り返して順位をひとつ上げ17番手。
6周目、トータル90分を確実に超えるラップ。ポディウムはほぼ決定的。でも沢田選手は諦めていない。11番手でフィードに戻ってきた。平野選手も単独になりがらもペースを維持し、17番手でファイナルラップへ。
7周目、沢田選手は前の選手を捉えることのできるギリギリの差。タイム差を明白に示しプッシュを促した。沢田選手は最後まで追いかけ、抜くことはできなかったが11位でフィニッシュ。平野選手は大きくあいた前後の選手とのマージンをとるのではなく、最後まで結論を出していない。出し切っての17位でフィニッシュ。
こうして2週間にわたった第3次欧州遠征を無事に終えることができた。これはスポンサー、サプライヤー、ファン、家族、そして現地の支援者による力が大きい。
あらためて各位に感謝すると共に、チームはもっと強く、もっと高い頂きを目指す勇気をもつ準備ができている。

TEAM BRIDGESTONE Cyclingへの応援をありがとうございました。
チームは、一時帰国し、八幡浜インターナショナル(UCI-C1XCO)に参戦し、再び欧州へと戻ります。引き続き、チームへの応援を宜しくお願いします。
Obrigado!
















2019年5月6日月曜日

O、Novi Sad Serbia UCI S1

Salcano-Kyosera MTB Cup Novi Sad UCI S1。
結果、ステージ総合で沢田選手が17位、平野選手が24位となり、チーム目標のUCIポイント獲得に成功した。
2019菜の花飯山サイクルロードレース閉幕翌日、祭りの余韻に浸る間もなく、直ぐにセルビア遠征へと向かった。ここはチームとして初めての地。XTR9100系をフルスペックし、ドロッパーポストも投入した2019XR9もここが初戦。共に新鮮なUCI S1への挑戦となる。
平成から令和にかわるその瞬間、チームは羽田空港の出国ゲートにいた。先月、年号が令和に決まった瞬間も海外の空港だった。経由地ウィーン国際空港ラウンジのテレビ画面で新天皇即位を見ながら、新しい幕開けを粋を思う。
ベオグラード空港から80km先にあるノビサド。レースはノビサドから更に20km程山に入った広大な国定公園内に設置されていた。
ドナウ川を渡り、途中の細い山道からは想像も出来ない巨大なホテルが現れる。全てのステージがホテル前から始まるシチュエーション。セルビアも日本と同様に10連休らしく、会場には信じられない程多くの子供、家族が遊んでいる。天気も快晴で迎えてくれ、雰囲気はとても良い。
集まる選手も強い。スロバキア、ベルギー、ハンガリー、ウクライナ、カザフスタン、トルコはナショナルチームで参加し、それぞれナショナルチャンピオンを擁している。フランスからは世界選手権U23ポディウムライダー、プロコンチームライダーもいる38名のエリート。
トップ10は日本人の誰よりも速い選手たち。加えて林が多く乾かない強粘土質のヘビーマッド。高い草芝と激坂、ラフなラインで流れを絶ちきる重いコースレイアウト。昨年よりUCI クラスアップし、ライバルのレベルも上がったこのレースで1点でも多くのポイントを獲得することがチームの目標だ。
レースは、XCT、XCM、XCC、XCOの4ステージが用意された。
5月2日 XCT 14km
前日までの雨がやみ、快晴でのプロローグ。
長時間移動での疲労や大きなトラブルはなく、チームは順調にスタートを迎えた。両選手とも試走でしっかり確認したラインで路面コンディションに影響されないスムースな走りを見せた。Newバイクも期待通りの高いポテンシャルを発揮。トラブルフリーだ。
チームはポディウムライダーに対し、マラソンでカバーできる最小限のタイム差を狙い、沢田選手15位、平野選手19位で令和最初のレースをフィニッシュ。順当なポジションでのステージ開幕となった。
5月3日 XCM 55km (27.5km×2lap)
前夜の露の影響がない乾いた朝。
ステージで最もタイム差が開くマラソン。この日が最終成績にとても大きく響くことは誰もが理解している。やはりレース前半からマラソンとは思えない積極的な展開。リーダージャージを中心に直ぐに速いパックが形成される。
1周目、沢田選手は30番手前後。身体が重く掛かっていない。平野選手は淡々とした走りで20番手前後。ミスを起こさないよう慎重にレースを運んでいく。
2周目、沢田選手がようやく掛かり始め、前のパックを猛追。最後までプッシュして15位フィニッシュ。後半の掛かり方をみると前半の停滞が悔やまれる走り。平野選手は順位こそ落とすが、苦手なマラソンでも可能な限りタイム差を広げないガマンの走りで26位フィニッシュ。
5月4日 XCC 30min
朝露でコースが輝いている暖かい土曜。
タイムスケジュールが1時間早まり、エリートでは珍しい10時スタート。晴れているため、アウトサイドでの充分なアップも難しくない。
ショートサーキットとは言え、このコースは路面抵抗が非常に高く、パワーがモノを言う。案の定、ワールドカッパーを主軸にレースはパワー合戦。10ラップのうち、最初のラップでステージをリードする9名のライダーが早くも飛び出す。前半、沢田選手は15番手前後、平野選手は25番手前後でスーパーな高速列車を追走する展開。
中盤、攻め続けた沢田選手は9番手まで上がり、ワールドカッパーに割って入る。後半に向かうに従いパワーダウンとなり21位でフィニッシュしたが、レースで力を出し切れている。
平野選手はスタートで失敗し最後尾からの追い上げとなる苦しい展開。しかし、走りそのものは悪くなく、バイクをしっかり走らせることが出来ている。ダンシングにも切れが出てきた。最後までプッシュを繰り返し、前をいく選手数名をパスして23位フィニッシュ。
5月5日 XCO  4.2km×9lap
前夜からの雨で路面は最悪のマッドマット。粘土細工が出来そうな土質が牙をむく。
ステージ最終レースは完走しなければ意味がない。悩むタイヤ選択、コース戦略を嘲笑うかのような冷たい霧雨。ここの土質は、雨が降り続いても流れない。どのチームもタイムオーバーを意見した9周回の過酷なサバイバルが始まった。
ファイナルステージは2周目でやはり総合リーダーを主軸にトップ9のパックが形成された。沢田選手はその後ろのセカンドパック15位。平野選手は長い列車の25番手前後。結果としてこの2周目の順位がフィニッシュに影響していること、その後のラップは大きく開かないことを考えると二人とも走りそのものは悪くない。レース運びが課題だ。
一方、バイクを見るとどのチームも泥と草の酷い付着。何人もが洗車のためにフィードで止まるほど。ほとんどの選手がチェーントラブルに見舞われた。沢田・平野選手とも泥によるチェーンの脱落があり、過酷なレースとなるが、走りはポジティブ。走れるラインどり、降車区間の見極めを冷静に行い、ラップが不安定なライバルから徐々に自分のポジションをキープ。沢田選手15位、平野選手23位でフィニッシュ。
4日間のステージが終わった。
総合では、沢田選手17位、平野選手24位となった。この先に課題を残しつつも、こうしたライバルのレベルがアジアを遥かに超える高いレースで目標のUCIポイントを獲得したことは、今月末から始まるオリンピック代表選考、全日本選手権に向けて好材料と言える。
明日はセルビアでリカバリーし、明後日にはスペイン。
今回も日本から沢山の応援をありがとうございました。遠い地でも、その応援が力になり、チームは最高の環境で戦えています。
感謝します。そして、TEAM BRIDGESTONE Cycling は更に強くなります。