2019年2月18日月曜日

O、Salamina EPIC #3 UCI-C1XCO

このギリシャ遠征最後のレースとなるサラミナ・エピック3、XCO(UCI-C1)。
結果、平野選手は中盤の大落車によるダメージを残しながらの32位、沢田選手は最初から攻撃的な走りにトライアウトしての26位となった。
週中から現地の人も新しい暖房機を検討する程の寒い毎日。金曜のエピック2終了後の雨は霙になるのでは思う程。通常は15度前後まで上がるはずの最高気温も8度以下で、島独特の24時間吹く風はちょっとした台風のような強さ。決して楽に走れる気候ではない。一方、2週間を過ごしてきたこのサラミナ島への馴染みは日増しに愛着のようなものに変わり、コースへの熟度も生活の安定度も高いレベルになる。
海外であり、ワールドカップライダーが犇めく中でも、スタートまでのアプローチが安定することで、身体の疲労はピークに達しても、ストレスフリーでレースにチャレンジできる。現地到着から13日間で9つのレース。それも多様なバリエーションレースが用意されるため、これまでの自分の殻を破るのに最適なトライ期間。チームライダーは既にベテランと言える国内外の経験を積んできているが、こいうした超過密なレースに初めて遭遇し、新しい希望と課題を発見したに違いない。
日曜の14:30、晴天の中、4.7㎞×8周回のレースがスタート。このレースに対しては次の指示を出していた。
「このレースは綺麗にまとめる必要は全くない。最後は潰れていい。スタートから3ラップに集中して走ること。4ラップ以降はいつでも降りていい。」
2選手はスタートから集中して欧米選手の先頭パックを追う。イタリア、ベルギー、フランス、アメリカ、カナダの選手らが強烈なアタックを繰り返す。
平野選手はここまで本調子から遠いコンディションであるが、このレースは前半から攻撃的な走りをみせた。スタートの海岸線ではトップ10の背後。そのあと一時的に後退するものの、周囲の速いパックとジョイントし、脚を貯めながら前を追う展開。3周目でアタックを仕掛けるが、ドロップオフで前方の選手の陰になっていた切株に前輪をヒットして激しく転倒。しばらく動けない程の衝撃。立ち上がるとゆっくりと身体を観察しながら走行を続け、フィードで傷んだリアホイールを交換して本格的に戦列復帰。無理のない範囲でペースをコントロールし、32位でフィニッシュ。
沢田選手もスタートから攻撃的な走り。しかしトップ20までの選手はワールドカップのスタートと一緒で超絶に速い。欧米選手の中でどうしても遅れをとる格好。現在のXCOはパックで展開する。2周回までは先頭を含むパック、3周回までは先頭を捉えることができるパックにいないと、レースで上位に入ることはできない。中盤から脚が掛かり始めても、どんなにファストラップを叩き出しても欧米勢に勝負することは難しい。沢田選手はこのスピードという課題にアタックした。前半を突っ込み過ぎても苦しい中盤を耐え忍び、終盤にプッシュを繰り返す展開。先週までのエピックでUCIポイント獲得の選手を上回り、この遠征で最もよい26位でフィニッシュ。
結局このレースはDNSが6名、DNFが9名(エピックリーダーも含む)であり、その過酷さがよく表れている。その中で、チームは全てのレースを完走し、最終で成績を上げていることは、これまでの取り組みと、この先の在り方を明確に示しているといえる。
これでギリシャ・サラミナ島での遠征が終わった。多くの支援により、チームはとても充実したハードな2週間を無事に完了することができた。
課題は明白。希望は増幅した。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは、我々が目指す頂きのため、もっと強くなります。
応援をありがとうございました。






2019年2月15日金曜日

O、Salamina EPIC#2 UCI-S1

先週のエピック1終了から中一日。どんなに良い食事もリカバリーライドも睡眠も、前レースでのダメージを除去し切れない中で、エピック2は始まった。一桁台の気温と降雨を感じる寒空の中でもサラミナ島の海のエメラルドグリーンは相変わらず自分たちのバトルを捲し立てているように見える。
コースのレイアウトは基本的に継続。出場選手の4割程度は入れ替わった。巨大メーカーのファクトリーチームやフランス代表組など有力選手が加わり、活気のあるフレッシュな選手が増えた分、レースの難易度は上がる。
何れにしても全く余裕のない中、余計なことは一切考えられない超高負荷の中で、いかに自分を鏡で見ることができ、現状で考え得るベストパフォーマンスを発揮するか、レースへのアプローチを工夫できるか、選手の能力が暴露される。
ステージの配列と種類は前週とは異なっている。XCT、XCM、XCC、XCPが用意された。
2月12日 12:00 XCT 10㎞。1分おきに個人がカウントダウンスタート。シフトアップによるスプロケットとチェーンの打音が海岸沿いの会場に響き渡る。平野選手はクレバーな路面選択でスムースなスタートダッシュを決めたが、スピードを伸ばし切れない。併せてダウンヒルセクションで前の選手と詰ってしまい20秒以上の大きなタイムロス。42位でフィニッシュとなった。沢田選手はゆっくりではあるが上がり調子。前回と同コースのXCTで、自己タイムを2分程短縮する走りを見せて38位でフィニッシュ。
2月13日 11:00 XCM 66㎞。朝から寒空。今にも雨が降りそうな重い雲。こちらに来てから最も寒い日となり最高気温は8度。暴風のため体感は0度に近づいた。主港からのパレード走行後、一斉に激坂へアタック。先頭パックが早々と飛び出し、インコーナーで集団が接触して詰る展開から始まった。平野選手はまだ体調が安定せず、苦手な寒さも相まって、終始静かな走りとなり38位でフィニッシュ。沢田選手は思うように先行するパックを捕まえられず前半は停滞が続くが、中盤は欧州勢と共にプッシュ。しかし、後半だけで3回ものパンクに見舞われることとなり大きくタイムロス。41位でフィニッシュ





となった。
2月14日 13:00 XCC 2㎞×35分間。前週を含め初のショートサーキット。ガレ場のある高低差もある荒れたグラベルで超高速レースが展開された。試走段階でパンクのリスクも高いと判断し、タイヤのエアも慎重な調整を行った。前日に続き気温はとても低く、晴れ間はあるが海岸特有の暴風が常にあり、風の影響もあるコンディション。スタートはやはりステージリーダーを中心に速い。トップギアが掛かり、2㎞の周回ラップは5分。集団はあっという間に一列棒状に。こうなると後方の選手は周辺のパックを利用してパンクを恐れずにプッシュするしかない。平野選手はスタートの遅れがあったものの中盤はプッシュを繰り返し、何度も独走で前のパックを捉えるが足を使いラップダウン。41位でフィニッシュ。沢田選手は中盤に強いプッシュを見せ、20番台の欧州勢のパックにジョイントするが最後まで攻め切れない。Fタイヤのスローパンクもあり38位でフィニッシュ。
2月15日 12:00 XCP 32㎞。この遠征でのステージファイナルは、サラミナの中心市街地からゆっくりとスタート。雨の予報だが降る気配はない。タイム差の少ないトップ10ライダーが道路いっぱいに広がり、激坂でのパワーフルなダンシングからレースは始まった。
平野選手はヘルペスが発生していて本調子からは程遠いが、スタート前に決めたプラン通り最初からプッシュ。集団の20番手付近で山頂に向かうが、現状の体調を鑑みるとイーブンで走ることも難しい中で耐えての37位フニッシュ。沢田選手は疲労のある身体を振り絞って常に前のパックを追いかける展開。単独になるも最後までしっかりと踏み、このステージで最も順位の良い31位でフィニッシュ。
総合成績では、平野選手は38位、沢田選手は39位となった。
2月の初旬という異例の早い時期に、この強度の非常に高い2つのステージレース、延べ8日を戦った今、彼らの中には明確な答えがある。結果は結果、今遠征の成果ではない。それぞれのスケジュールと体調を鑑みると、遠征前には不明瞭だったもの、不安だったものが、このサラミナの綺麗な海のようにクリアになっている。レースでなければ得られない貴重なデータも、強化合宿として相当大きな負荷をかけることも出来た。
そして明後日にはエピック3、遠征最後のXCO(UCI C1)を残している。チームとしては、2019シーズンの来るべきピークに照準を合わせた、今あるべきベストなレース展開を目標としている。
連日、日本からも沢山の応援をありがとうございます。
現地ファンからのサポートもあり、TEAM BRIDGESTONE Cyclingは元気にシーズンインを果たしています。引き続きの応援をよろしくお願いします。















2019年2月11日月曜日

O、Salamina EPIC#1 UCI-S1

TEAM BRIDGESTONE Cycling MTBチームの2019シーズンが始まった。
チームがシーズン最初の遠征に選んだのはギリシャ・サラミナ島。2月6日~17日までに、UCI-S1を2レース・8ステージ、XCO-C1を1レース、合計9つのレースを戦う非常にタフな遠征を組んだ。
今回の遠征のチームの目的はUCIポイント獲得ではない。選手がシーズンインするにあたり、この遠征を利用して確実に2019シーズンを日本一にするための標準点にすること。シーズンオフからどの程度の強化がなされてきたか、どのような課題を残しているのか、メンタルも含めて厳しく選手に問う機会。
この時期のサラミナの気温は東京並み。気温差、関東の降水確率とも似ており、2月に選手を順化させながらスタートするには絶好の場所。現地のオーナーと直接コンタクトし、全てが整うアパートを構え、食事も自主管理できるようにした。(壊れた洗濯機も交換してくれた!)
しかも今季からUCIステージは4日間以上、マラソンの距離もしっかりと確保されるようになったため、従来よりはるかに負担の大きいレースとなっている。しかも今回は休日が中1日ずつしか与えられない状態でクラス1の9つのレースをこなすため、ツールとしての戦い方が求められる。(S1の総合覇者には120ポイントが付与され、ナショナル選手権より配点が高い)
更にエントリーはイタリア・フランス・ドイツなどからワールドカップトップ10ライダー、ベルギー・ロシア・USA・スロベニア・ポーランドはナショナルチームを送り込んできており、60名弱のエリート選手の層の厚さを鑑みると、トップ30はWCレベル。
チームはフル体制でこのレースに挑んだ。機材は既に5年間の熟成でトラブルフリーと言えるXR9、XTR、AXON。KABUTO、WAVEONE、明治、日本旅行、新たにNEWERAも加わり、サポート体制は盤石。日本で最も多くのUCIレースを戦ってきたチームとして、これらのスポンサー・サプライヤーの力はとても大きい。あらためてギリシャの地を踏み、各位に2019シーズンインの感謝を申し上げたい。
2月7日12:00、初日のステージXCT15㎞。1分間隔で山岳グラベルに突っ込んでいく1ループのコース。平野選手のゼッケンは16、沢田選手は22。前後のWCライダーに挟まれた格好でスタート。順位は平野選手46位、沢田選手45位。2選手とも時差ぼけはあるにせよ、身体の動きは低調で、掛からない走りとなり、最初のステージが始まった。
2月8日12:00、2日目のステージXCP32㎞。サラミナの中心街からの7㎞パレード走行後、激坂を前にグリーンフラッグ。一気に登坂させるためここで渋滞が起き、60名弱の集団は直ぐに崩壊。数分で先頭パックが大きく抜け出す展開。平野選手は復調を見せて43位、沢田選手は不満を脱しない47位でフニッシュ。
2月9日14:00、3日目のステージXCO4.7㎞×8Lap。前日の入念な機材チェックでバイクをリフレッシュ。平野選手は中間ラップこそ抜群のプッシュを見せたが後半失速して43位でポジションキープ。沢田選手は復調を見せて彼本来の掛かりのある走りが見え始めての38位となった。
2月10日11:00、4日目のステージXCM66㎞。既に数名の選手がDNS。KROSSKチームのSergio選手でさえレースを降りるタフな4日目が始まる。総合リーダーのTimofey選手(RUS)がレースをコントロールし最初の25㎞から4名パックが抜け出る。スピードもXCPと大差なくとても速い。一方、距離のあるマラソンのためにここで一発形勢逆転のチャンスがあるステージ。平野選手も沢田選手もXCOとはまるで異なる環境でプッシュを続けた。平野選手は前半20番台が見える良い位置まで上がっていたがハンガーノック気味で後退し36位。沢田選手は最後まで諦めない粘りのある走りで32位でフィニッシュ。
第1週目、4日間のステージが終わった。総合で平野選手37位、沢田選手34位。沢田選手が選手層の厚い複合レースの中でUCIポイント獲得という成果を残した。彼の良さである持久系の力が発揮されてきた。平野選手は2月上旬とインフルエンザからの復調を考えると身体が良い反応を見せており、パンチ力も見れる。
遠征第1週目は目的に沿った価値のある週間になったと言える。
先ずは1日間の休憩をはさみ、また明日から第2週目のステージが始まる。
今日のサラミナは最高の快晴。
日本から沢山の応援に感謝します!
皆さんの思いを力に変えてTEAM BRIDGESTONE Cyclingはダントツの強さを手に入れてみせます。
















2019年2月4日月曜日

O、what's Iiyama

2月がスタート。
もう2019年は11ヶ月しかない、いや11ヶ月もある。
来週から始まる過酷な旅の準備をしながらふとカレンダーを見てしまう。
窓越しの風景は真っ白。頭の中とシステムノートは真っ黒。
雪で覆われた冬の飯山に色を見せるのは極限られるものだけ。日常的に視界に入る色はとても単調だ。だからこそ、晴れた日の青空は極めて美しい。それに加え、ここ数年は海外からの移住や観光客が激増し、彼らのカラフルな生活スタイルが町を彩る。
飯山駅もローカルバスもゲレンデも喫茶も海外の雰囲気。ときに日本人の方が少ない。
我が家の集落にも初めて海外からの入居があった。彼らはオーストラリア人。直ぐに仲良くなり、村の祭りや行事に誘った。問題なのは村人だろうと思っていた。きっと自分より英語や海外に慣れていないからガイジン扱いで苦手なんだろうと。。
ところがだった。
普段無口な人も、全く英語を話せないおじいさんも自ら彼らに話し掛けている。本当にビックリだった。ガイジンアレルギーなんてまるで感じさせない。英語が出来なくても、日本語で何とか通じないか、あの手この手を使っている。限界集落といえる小さな村だが誰もが新たな住人を歓迎し、村の文化を伝えようとしている。
もしかしたら、これが未来に繋がる飯山のヒントなのかも知れない。
さて、いよいよサイクルシーズンスタート。最初の遠征はギリシャから。