2020年2月23日日曜日

S、Velo Alanya MTB Stage Race UCI-S2

チームのUCI2020シーズンが本格的に始まった。
先週のギリシャでのテストレースからここトルコに移動。全員がアランヤのキャンプ地に集合して最終的な機材セッティングを終え、S2レースを皮切りに海外活動を開始。先ずは8か国がエントリーしたVelo Alanya MTB Stage Race(UCI-S2)への挑戦となった。
結果、総合で平野選手が9位、沢田選手が13位となり、それぞれ課題はあるものの、レースが進むに従って良い走りが現れ、次のレースに繋がるフィニッシュとなった。
2月20日(木)DAY1 XCT4.7㎞
4700mのXCOコースを1周回するXCT。松林の狭い公園敷地を使い、多様なコーナーを設けたシクロクロスのようなレイアウト。高低差も大きくはなく、明確なアタック所が見つからないコース。路面は松林のそれと黄粘土で、気になるほどのロックセクションはなく、人工木材ジャンプが設置される。時々コーステープが曖昧で海外勢の多くはショートカットしている姿が見られた。
結果、両選手とも明日からの中長距離ステージを鑑み、トラブルフリーでトップと30秒差の14位、15位でフィニッシュ。明日からのXCP・XCMで充分にトップが射程に入るタイム差。10名程がショートカットしていたとの大会スタッフ情報があったので、実質シングルに位置しているタイム。
2月21日(金)DAY2 XCP36㎞→15㎞
バザールからスタートし、渓谷沿いの砕石場道路から山林ジープ道へと繋ぎ、オフィシャルホテル付近を終点とする36㎞のレイアウトのはずだった。ここに来て初めての雨。それも雷雨で雨量は非常に多く寒い。運営側が山岳は危険だと判断し、コースは難易度の高いセクションを避けた15㎞に短縮。雨によって路面の砕石の灰質汚れが酷くアイウェアは使い物にならない。シンプルで緩やかな勾配が長いため中盤過ぎまでは大集団。先頭がアタックすると同時に集団は棒状に分解され、沢田選手のアシストで前に出た平野選手が前日のタイム差を縮め、トップと1分台の差で14位フィニッシュ。沢田選手もそれに続いて15位フィニッシュ。総合で平野選手が12位に上がり、沢田選手は16位となった。
2月22日(土)DAY3 XCM60.7㎞→XCC4.7㎞×3LAP
険しい山岳をループする計61㎞のマラソンがキャンセルされ、CP決定によりXCCに種目変更された。チームとしては、このマラソンで大きくアドバンテージをとり、ポディウム獲得を狙っていただけに残念な種目変更。しかし、これもレース。雨で滑りやすい粘土質路面も露出してきたXCT/XCOコースを使ってのXCCとなった。
結果、平野選手はポディウム集団から脱落したものの先頭からのタイム差1分台で13位、沢田選手は他国選手のペダルキャッチミスの影響で最後尾スタートになったが、最後まで粘っての16位フィニッシュ。総合で平野選手11位、沢田選手14位と共に順位を上げてきた。
2月23日(日)DAY4 XCO4.7㎞×8周回
前夜から午前の雨が止み、アンタルヤらしい綺麗な青空が戻ってきた昼過ぎ。DAY1、DAY3で使用されたコースでのXCOがファイナルステージ。複雑なタイトコーナーを多用するレイアウトだが、各選手は随分と慣れてきており、区間ラップは益々高速化している。しかし、前夜からの降雨で路面はDAY3に増して滑りやすく難易度が上がっていた。
結果、平野選手はスタートこそ出遅れたが、中盤には全開の先頭パックに追いつき、終盤は全てのパックが崩壊した中でペダルトラブルがありながらも粘って11位でフィニッシュ。総合9位を獲得した。沢田選手も最後まで出し切る良い走りを魅せて前後のフランス選手らを振り切り12位でフィニッシュ。総合13位を確定させた。
TEAM BRIDGESTONE Cycling2020初戦のUCIレースとなったVelo Alanya MTB Stage Raceは、チーム目標として2ライダー共に総合9位以内を掲げた。このレースでは目標まであと一歩届かなかったが、選手の体調は欧州のそれに馴染み、次のステージレースまではしっかりと強化できる時間が残されている。
スポンサー、サプライヤー、ファン、関係者、家族からの沢山の支援と応援に感謝し、全てを力に変えて、チームは全開で進みます。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingへの応援を何卒宜しくお願いします。

















2020年2月16日日曜日

S、Salamina Epic Stage Race UCI S-1

ギリシャ・サラミナ島でのUCI S1。
タイからの帰国3日後にはスイスへ。一時帰国した2日間で撮影・ラジオ出演・ミーティングをこなして直ぐにギリシャへ。
何度目だろう、この島に来るとまるでホームに帰ってきたような感覚。知り合いというよりも、友達がとても多く、レースへのアプローチはとても快適な場所。チームとしてはアジア選手権をシーズン最初の山場とし、2月のトルコから本格的な欧州UCIレースを転戦する計画。従ってこのサラミナでのステージレースは、機材のデータ取り、トルコに向かう前のテストレースという位置づけで臨んだ。ライダーは沢田選手のみ。平野選手は日本でリカバリーし、万全の態勢でUCIレース連戦に挑む。
ギリシャでのUCIレース、日本人として初めて本格的に参戦したとき、アジア人は我々だけだった。英語もままならないギリシャ人相手にレースの詳細を掴むだけでも相当苦労した思い出。でも、4年が経つ今日では日本人が何人もエントリーし、多国籍の選手たちと競い合っている。UCIチームでなくとも、日本人ライダーの欧州遠征が特別なものではなくなってきたといえ、やっと真面な世界挑戦のきっかけを手にしようという動き。ようやく日本のXCOは入口に辿り着きそうだ。でも入口の扉は簡単には開かない。門も頑丈だ。鍵を見つけるか、入場できるステイタスを持たないと中には入れない。
日本で海外遠征を数回行っただけで世界を知っている、世界に挑むと自負する自称プロ選手が沢山いるが、それほど愚かなことはない。世界の強豪がどんな視線で日本人ライダーを見ているかを知らないのだろう。
共に戦う有力海外勢の彼らの中にプロと呼べる選手は非常に少ない。選手以外の収入を得る努力をしながら全開で戦っている。プロになるために全てを賭けてレースに挑んでいる。彼らの覚悟がまるで違うことをこの数年間で随分と学んだ。
我々TEAM BRIDGESTONE Cyclingは日本を代表するチームである以上、彼らへのリスペクトと同時に、レースオルガナイザーやコミッセールとのコミュニケーションを継続し、チームライダーを何度もアタックさせてきた。成績はもちろん重要だが、何度も何度もプッシュする姿、どの位置を走ろうとも最後まで諦めない走りを求めてきた。チームの装備・態勢は勝つために準備しており、現地で何とかしよう、という遠征は一つもない。出来る限りの情報収集と準備を日本で行い、現場での応用を最適化してきた。
今は現地に多くのファンも友達もいて、欧州の有力選手たちやコーチ達とも仲間になっている。この地に来るための抵抗はほとんど皆無になった。
来週から平野選手が合流し、チームにとって集大成となる2020シーズンがいよいよ本格スタート。
サラミナでの貴重なデータをもって次の遠征地へとフライトしよう。





















2020年2月4日火曜日

S、Cyclecross World Championships SWISS

スイス、チューリッヒでの2020年シクロクロス世界選手権。
日本代表としてシクロクロス世界選手権に来たのはルクセンブルク大会以来。4年ぶりになるだろうか。ナショナルチームの組織改革が行われ、明確なビジョンの基にスタッフも一新してのスイス大会。個人的な繋がりの選考、趣味・ファンの延長的な志向、無資格スタッフの自薦参加、など日本を代表するチームとしての取り組みがされていなかった従来型を180度変え、ジュニアから強化育成して厳しい世界へとステップアップするための改変。その最初のシーズン。今大会から正式採用になった女子ジュニア選手を加え、フルラップできるカテゴリーとその実力をもつ選手に限定しての遠征となった。
お互い知ってはいても、普段活動を共にしない選手たちとメカニックとコーチの立場で接するには時間が必要だ。ホテルでの食事、メカニックルームでの会話、会場での些細なひと時、クルマでの移動時間がとても重要になる。ジュニアとの年齢は親子の差があるから、何となく父親的な言葉使いと遠慮が強いられる。。それでも8日間も一緒に過ごせば、そこには大きな信頼と冗談が通じるようになり、お小遣いを迫ってくる関係まで出来上がり、このチームで再び世界に挑戦したくなってくる。
毎年、現地ではベルギー人の3名の熟練スタッフが日本チームを支えてくれる。彼らは日の丸を胸に、献身的に、合理的に仕事をしてくれる。遠い日本からの圧倒的に欧州に劣る機材や装備不足をカバーし、バイクラック付きのトラックレンタル、機材の運搬、ウェアの洗濯と乾燥、第一段階の洗車は彼らの仕事だ。こちらからの指示に的確に対応し、メカニック作業や選手とのコミュニケーションに集中できる環境は日本人だけでは到底成し得ない。今回も12台のバイクを一人で担当したが、彼らと彼らの装備がなかったら、毎日徹夜でも間に合わない状態だった。彼らは日本チームの重要な戦力になっている。感謝したい。
そして、共に世界を転戦する仲間がいることが嬉しかった。特にイングランドチームのメカニックは過酷なMTBレースで何度も苦労を共にした仲。トップ選手のタイヤ選択やエアボリュームも隠し事なく情報交換できる。ベルギーのプロコンチネンタルチームのスタッフとしてもどうか・・・と誘われたり、社長出勤だな!と叱咤されたり。。
レース結果はもう既に多くのレポートが公開されている通り。日本チームはジュニアが全員フルラップ完走し、U23男子もファイナルラップまで走り抜いた。エリート男子はスーパースターのマチューがスタート第一コーナーから誰の背中も誰の泥も浴びずに世界一を連覇した。ただ、彼の世界一の走りを間近に見ていると画面では分からないとてもシンプルなことに気づいた。
 ・とにかく基本的なライディング技術に忠実
 ・全く派手さがないが、狙ったラインを決して外さない
 ・タイヤの路面コンタクトの音がとても小さい
 ・後ろを見ていない
そして、レース10分前、チームピットからスタート地点に向かう際に追いかけてきたファンの子供が転びそうになるのを彼は心配そうに見守っていた。
それはMTB世界王者ニノ・シューターも同じ。ワールドカップで背後に接近してきたライバルとのファイナルラップでも、遠くから声援していた子供たちへ受け取ったばかりのボトルを投げ入れていた。
やはり世界一の選手は人間性も優れているのだとあらためて感じた一面。
世界で一番を決める場所。
この場所に再び立ち、選手のために全開で尽くせるよう、世界を驚かせる日が来るよう、自分も進化させなきゃいけない。そう考えながら次の遠征に向けてフライト。
沢山の友達へ。 ありがとう!