2020年7月19日日曜日

S、CJ-1 XCO Opening race Syoubudani

2020シーズンの国内レースが開幕した。
菖蒲谷(兵庫県)では初のCJ1クロスカントリー。
結果、沢田選手は今考えられる完璧なレース運びをみせ、独走で優勝を果たした。
例年なら全日本選手権が行われるだろう7月。ましてや東京オリンピックの開会式を迎えるはずだったこの時期に、国内レースが開幕するなんて誰も想像していなかったはず。
欧州から3月に帰国してからの4か月、チームはリスクマネジメントを更新しながらライバル達と距離を置き、画面や電話でのコミュニケーションを常に図りながら、見えない先と見える先をクリアにし、チームトレーニングも重ねてこの開幕レースを迎えた。
平野選手は現在までのトレーニング内容を鑑みてレース不参加としたが、沢田選手は体調が非常に良く、トレーニングでもこれまでにない強さを獲得していた。
前夜のミーティング。自分からのオーダーはとてもシンプルだ。
「勝つと決めて勝つ」
沢田選手は1スタートループ+6周回のタフなレースを誰も寄せ付けない走りで独走した。
スタートループでの位置取り、フルラップコースでのアタックポイント、レース中のクーリングなどの戦略が綿密に実行されないとこのコースで勝つことは難しい。春から3か月間をかけてこのコースが造成された菖蒲谷は、起伏とコーナーが多く、激坂と派手なダウンヒルが用意されており、レイアウトを充分に理解しないとパワーだけがあっても勝つことはできない日本では稀なコースになっている。
そしてこのレース、XCOの前日にショートカットコースを2周回するXCCの順位でスタートグリッドを決めるワールドカップに習った方式を採用した。XCC上位8名がスタートグリッド2列目までを占有するというもの。でもチームにとっての興味はXCCでの勝利ではない。最低4位までなら最前列でXCOを迎えることができるため、XCCは勝つよりもライバルの調子をチェックしつつ、XCO本番でのペース配分やアタックポイントを探ることが重要になる。沢田選手はXCCを2番手でフィニッシュし、クレバーに状況を把握して翌日に備えた。
天気は晴れ。30℃を超えるだろう真夏の日差し。明けない梅雨空が耐暑能力を下げているのは間違いない。氷入りの掛水ボトルを準備し、XR9もシリコンバリアを施して水分を含んだ砂土による無駄な機材の汚れを避けるよう準備した。
スタート。1周7分程のスタートループは作戦通りに前を引かないよう先頭パックを形成。ここから飛び出す選手は理解していたのでタイム差をキープしつつ容認。冷静に判断して本コースの1周目に3番手で入った。
2周目。ここで早くも沢田選手は動いた。ライバル達の調子やコースの走り方を洞察する余裕を見せ、一発で仕留めるために決めていたアタックポイントの上りで一気に先頭に立ち独走態勢をつくる。
3周目。このレースでもっとも警戒していた選手がレースを降り、底力のある選手が上がってくるが、沢田選手との差は縮まらない。レース中盤だが選手達はパックを形成できずバラバラに崩壊。
4周目。後続とは1分以上の差。80%カットで多くの選手がレースから降りていく中、沢田選手は淡々とレースを展開。掛ける言葉があるとしたらキープライドしかない。
5周目。もう沢田選手の優勝を誰も疑わない程のアドバンテージ。でもレースはフィニッシュラインを通過するまでわからない。彼の眼は鋭く、集中は決して途切れていない。ウェアの汚れから安定した走りが分かる。
6周目。ファイナルラップ。こんなにも集中した顔でフィードを通過する沢田選手を見守るのはいつぶりだろうか。ダウンヒルはセイフティーに行こうと声を掛けてフィニッシュ地点に向かった。彼は真っ直ぐに腕を立て、フィニッシュへ。
やっと勝って抱き合えた幸せな一瞬。勝つことはこんなにも大変で嬉しいことなんだとあらためて噛み締めることができた。
珍しくプレゼントしてもらった金メダルは新しいスタートの印。

コロナウイルスによる厳しい社会情勢の中で、この大会を支えていただいた全ての関係者各位と、多くの仲間・ライバルたちに感謝します。
そして、先行きが不透明な中でも懸命にチームを支援していただいたスポンサー、サプライヤー、ファン、家族に感謝します。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは全ての人の健康を願い、これからも更に強くなります。

ありがとうございます。