2015全日本選手権が終了。
結果、エリートではTREK山本選手が6周回を圧倒的な走りで王座を奪回し、7度目のナショナルチャンピオンに。アンカーは斉藤選手3位、平野選手4位。
U23ではアンカー沢田選手が2位以下に大差をつけて3連覇を達成。
チームとしてはこの大会の表彰台を確保したが、最大目標であるダブルチャンピオンを誕生させる事は出来なかった。
しかし、この大会はレース中だけではなく、そのスタートラインに着くまでにとても厳しく苦しい出来事が沢山あった。
選手は毎日毎日命を削るような辛い練習に耐え、ストレスと故障を克服し、家族はそれを懸命に支えたに違いない。スタッフもどれだけ自分の仕事を圧し殺し、家族サービスをキャンセルしている事だろう。
スタートから1Lap、山本選手の予想通りの異常な速さに反応出来たのは、前年度チャンピオンの武井選手とアンカー2名のみだった。
平野選手は山本選手を捉え追いかけるアグレッシブな走りで観客を魅了した。あまりに攻めるがゆえ、途中タイヤを凹凸にヒットさせてエアをオーバーフローさせてしまいスローダウン。同時にサドルも破損して先頭パックから離れてしまった。テクニカルフィードでホイール交換しそれでも諦めずに最後までプッシュし続けたが、表彰台には惜しくも及ばなかった。
斉藤選手はスタートからスピードに乗る山本選手にビハインドの格好になったが、怪我を感じさせない彼らしいミドルの強い走りでイーブンラップを刻み、チャンスを伺った。中盤過ぎにトラブルが発生した平野選手に替わって2位に浮上し、2分30秒前を行く山本選手を追走。彼の後ろにピタリと付いて2位を狙う武井選手を利用せず、懸命にポディウムだけを見て、約束したフィニッシュまで全力を尽くす走りで昨年と同じ表彰台に上った。
沢田選手はディフェンディングチャンピオンとしての重圧をはねのけ、プッシュにプッシュを重ねた。日の丸を背負う彼のプライドは走りの圧倒的な強さに現れていた。粗削りなところも若さとナンバー1ゼッケン(U23は101)が潰してしまう圧巻な走り。2周目以降は誰の背中も見ずに最高のガッツポーズでフィニッシュラインに飛び込んできた。スタート前の彼への指示は『守るな。これからの長いキャリアの中での全日本。何があっても前だけを見据えて自分らしく走る事。』
本当にアンカーの3選手は素晴らしい走りだった。
だから、2015年度全日本選手権のダブルタイトルを獲得出来なかったのは監督とメカニシャンを務める自分の責任。
そして、大切な3連休の中をここまで応援に来てくれた沢山の方に感謝しなければならない。
まだ続く2015シーズン。次は8月のアジア選手権。アンカーからは斉藤と平野と自分が日本代表としてマレーシアに向かう。アジアチャンピオンと全ての表彰台を独占するための責任をマラッカで果たしたい。