O、Yalova MTB CUP UCI C1
チームはイスラエルでの暑い2日間レースから再びトルコへと戻り、良く知る港町Yalovaに移動した。ここで開催される UCI C-1に参戦するためだ。自分は4日間だけの一時帰国で日本国内ビジネスをこなしてリターン。欧州での生活が長くなり、帰るという意味が逆転している。
Yalova MTB CUP UCI C-1。このレースが今季最後のXCO C-1となる。日本ではCJ山口が開催されているが、チームは東京2020に向けてまだまだ貪欲な欧州の強いライダーに挑むこのレースを選択した。
結果、沢田選手は前半の遅れをしっかりカバーするプッシュで9位となりUCIポイントを獲得。平野選手は本調子ではないものの今後の遠征スケジュールを見据えて冷静に走りきり16位フィニッシュ。
スロバキア、ギリシャ、ポルトガル、ウクライナ、トルコ、カザフスタンの各国ナショナルチャンピオン、イタリアのプロライダーに続き、チームはゼッケン8番、9番。UCIランキングこそ我々の後ろだが、若手の強いメンバーが揃っており、益々トルコのレースレベルが上がっていることを感じる。
コースは海岸から一気に急坂を駆け上りったピクニック公園にある。最高速度70㎞/hに達しようとする砂利の超高速ダウンヒル。滑り易い路面のクイックターンと荒れたアスファルトの激坂。植林地内の細かい切溝の暴れる登坂路面。1周ラップは11分台とかなり速く、レイアウトは単調だが流れの途切れ易いパワーの必要なコースだ。
気温は最高24度、最低14度前後で、空気も路面も乾燥している。バイクは暴れる登坂でのトラクションを重視してセット。走りのタイプは異なるが、タイヤ選択を含め、チームライダーは二人とも同じセッティング。XR9のポテンシャルを最大限引き出すため、ドライ系タイヤを選択し、選手ごとのダンピングを最適化。
土曜の試走を終えるとバイクは微粒子の土で真っ白になった。パーツやリンクの奥底まで汚れてしまうが、グリーンドライブを多用しているチームバイクは水洗浄だけでも輝きを取り戻す。特にチェーンはどんな状況でも1種類で安定した潤滑性能を提供してくれるため、荷物が制限される海外遠征には必須のアイテム。グリーンドライブだけで40レース以上を戦っているがその信頼性は非常に高く、代替えがない。
一方、トルコは手動の洗車場がガソリンスタンドにあり、ウォーターガンは2TL(約40円)で4分。ホテルのロータリーや街中でメンテナンススタンドを広げていても、声を掛けられて写メされる以外は何も困らない。
レースは日曜13:30。夏日のような陽射しを感じる快晴の中、4.1㎞×7周回のレースがスタートした。40名程のエリートライダーが土煙をあげてコースイン。チームライダーは大きなミスなく先頭集団に位置し、沢田選手は2番手前後に位置取り、積極的に1周目へと入った。
2周目、先頭はこの日の勝者になるゼッケン1のスロバキアチャンピオン。彼はUCIランキングトップ30の常連選手。このレースもゼッケン1を中心にコントロールされ、ファーストラップはコースレコードとなる速さ。それを追う縦長の集団の中で、沢田選手は13番手前後、平野選手は20番手前後で通過。
3周目、先頭集団は3名。その直ぐ後ろに3名、4名、5名とパックが分断しながら速いラップを保ったまま進行。沢田選手は2周目までの遅れをカバーするためプッシュし、一人ずつパスしている。平野選手は先頭が見えなくなってくるラップの落ち着いた集団の中で待機する格好に。
4周目、先頭から脱落する選手が発生し、トップ3がバラバラに。その後方から追い上げるセカンドパックは2名、サードパック2名。その背中を追う集団の中で沢田選手が11番手。平野選手は中盤になり、パワーの落ちてくる選手を拾いながら17番手にあがってきた。
5周目、先頭の逃げが決定的に。しかし、それを追うポディウムライダーがまたラップを上げてきた。沢田選手は前後のライバルにアタックして10番手。得意な区間でプッシュを繰り返し、シングルリザルトが見えてきた。平野選手は単独になっている。いつもの彼ならラップを上げることができるタイミングだが、この日は体調を鑑みてガマンしなければならない。
6周目、この周回までまに半数の選手がレースから降ろされた。コース上にはわずか20名程。沢田選手は更にプッシュして9番手に。ラップタイムもトップ5と大きく変わらない積極的な走り。平野選手は確実に16番手まであがってきた。しかし、トップ10まで届くことは難しいタイム差になってきた。
7周目、沢田選手は単独で前を追いかける。見えない相手を追い続ける強さは今後の遠征に期待できるそれ。9位でフィニッシュした。平野選手はゼッケン№に及ばない不甲斐ない位置だが、課題を明確にして16位フィニッシュ。先頭ラップが非常に速いこのレースでは、完走するだけでも容易いことではないが、二人とも今できる走りでトルコ遠征を終了した。
チームは一時帰国する。平野選手は10月6日の伊豆市でのプレオリンピックレースを走り、沢田選手は次の10月遠征に備える。
この挑戦的で貴重な遠征を、いつも変わりなく支援して頂けること、応援して頂けることに深く感謝します。多くのスポンサー、サプライヤー、ファン、家族に感謝します。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは東京オリンピックを目指して強く走り続けます。
ありがとうございます。