2019年9月30日月曜日

O、Yalova MTB CUP UCI C1

チームはイスラエルでの暑い2日間レースから再びトルコへと戻り、良く知る港町Yalovaに移動した。ここで開催される UCI C-1に参戦するためだ。自分は4日間だけの一時帰国で日本国内ビジネスをこなしてリターン。欧州での生活が長くなり、帰るという意味が逆転している。
Yalova MTB CUP  UCI C-1。このレースが今季最後のXCO C-1となる。日本ではCJ山口が開催されているが、チームは東京2020に向けてまだまだ貪欲な欧州の強いライダーに挑むこのレースを選択した。
結果、沢田選手は前半の遅れをしっかりカバーするプッシュで9位となりUCIポイントを獲得。平野選手は本調子ではないものの今後の遠征スケジュールを見据えて冷静に走りきり16位フィニッシュ。

スロバキア、ギリシャ、ポルトガル、ウクライナ、トルコ、カザフスタンの各国ナショナルチャンピオン、イタリアのプロライダーに続き、チームはゼッケン8番、9番。UCIランキングこそ我々の後ろだが、若手の強いメンバーが揃っており、益々トルコのレースレベルが上がっていることを感じる。

コースは海岸から一気に急坂を駆け上りったピクニック公園にある。最高速度70㎞/hに達しようとする砂利の超高速ダウンヒル。滑り易い路面のクイックターンと荒れたアスファルトの激坂。植林地内の細かい切溝の暴れる登坂路面。1周ラップは11分台とかなり速く、レイアウトは単調だが流れの途切れ易いパワーの必要なコースだ。
気温は最高24度、最低14度前後で、空気も路面も乾燥している。バイクは暴れる登坂でのトラクションを重視してセット。走りのタイプは異なるが、タイヤ選択を含め、チームライダーは二人とも同じセッティング。XR9のポテンシャルを最大限引き出すため、ドライ系タイヤを選択し、選手ごとのダンピングを最適化。

土曜の試走を終えるとバイクは微粒子の土で真っ白になった。パーツやリンクの奥底まで汚れてしまうが、グリーンドライブを多用しているチームバイクは水洗浄だけでも輝きを取り戻す。特にチェーンはどんな状況でも1種類で安定した潤滑性能を提供してくれるため、荷物が制限される海外遠征には必須のアイテム。グリーンドライブだけで40レース以上を戦っているがその信頼性は非常に高く、代替えがない。
一方、トルコは手動の洗車場がガソリンスタンドにあり、ウォーターガンは2TL(約40円)で4分。ホテルのロータリーや街中でメンテナンススタンドを広げていても、声を掛けられて写メされる以外は何も困らない。

レースは日曜13:30。夏日のような陽射しを感じる快晴の中、4.1㎞×7周回のレースがスタートした。40名程のエリートライダーが土煙をあげてコースイン。チームライダーは大きなミスなく先頭集団に位置し、沢田選手は2番手前後に位置取り、積極的に1周目へと入った。
2周目、先頭はこの日の勝者になるゼッケン1のスロバキアチャンピオン。彼はUCIランキングトップ30の常連選手。このレースもゼッケン1を中心にコントロールされ、ファーストラップはコースレコードとなる速さ。それを追う縦長の集団の中で、沢田選手は13番手前後、平野選手は20番手前後で通過。
3周目、先頭集団は3名。その直ぐ後ろに3名、4名、5名とパックが分断しながら速いラップを保ったまま進行。沢田選手は2周目までの遅れをカバーするためプッシュし、一人ずつパスしている。平野選手は先頭が見えなくなってくるラップの落ち着いた集団の中で待機する格好に。
4周目、先頭から脱落する選手が発生し、トップ3がバラバラに。その後方から追い上げるセカンドパックは2名、サードパック2名。その背中を追う集団の中で沢田選手が11番手。平野選手は中盤になり、パワーの落ちてくる選手を拾いながら17番手にあがってきた。
5周目、先頭の逃げが決定的に。しかし、それを追うポディウムライダーがまたラップを上げてきた。沢田選手は前後のライバルにアタックして10番手。得意な区間でプッシュを繰り返し、シングルリザルトが見えてきた。平野選手は単独になっている。いつもの彼ならラップを上げることができるタイミングだが、この日は体調を鑑みてガマンしなければならない。
6周目、この周回までまに半数の選手がレースから降ろされた。コース上にはわずか20名程。沢田選手は更にプッシュして9番手に。ラップタイムもトップ5と大きく変わらない積極的な走り。平野選手は確実に16番手まであがってきた。しかし、トップ10まで届くことは難しいタイム差になってきた。
7周目、沢田選手は単独で前を追いかける。見えない相手を追い続ける強さは今後の遠征に期待できるそれ。9位でフィニッシュした。平野選手はゼッケン№に及ばない不甲斐ない位置だが、課題を明確にして16位フィニッシュ。先頭ラップが非常に速いこのレースでは、完走するだけでも容易いことではないが、二人とも今できる走りでトルコ遠征を終了した。

チームは一時帰国する。平野選手は10月6日の伊豆市でのプレオリンピックレースを走り、沢田選手は次の10月遠征に備える。
この挑戦的で貴重な遠征を、いつも変わりなく支援して頂けること、応援して頂けることに深く感謝します。多くのスポンサー、サプライヤー、ファン、家族に感謝します。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは東京オリンピックを目指して強く走り続けます。
ありがとうございます。















2019年9月22日日曜日

O、Carmel montain XCO UCI C2&C1

トルコ・サカリヤでの激しいUCI C1レースを終え、チームは月曜のわずかな休息をとって真夏日のイスラエルに移動。2日連続で開催されるCarmel MountainXCO  UCI C2&C1に参戦するためだ。
結果、第1日目は平野選手が14位、沢田選手が18位。第2日目は沢田選手が23位、平野選手が28位に入った。いずれもUCIポイントの獲得には至らなかったが、ワールドクラスの中で走る貴重な2日間となり、今後の遠征にとって有意義なレースとなった。ドイツU23ナショナルチャンピオンが2日間とも優勝し、その実力を見せた。
イスラエルは今週から来週にかけて、シーズン最大のレース期間。2週にわたりXCO2レースとエピックが開催されるため、トルコから一緒に移動したライダーに加え、ワールドライダーが集結。フランス、ドイツ、ポルトガル、ロシア、ウクライナ、オーストラリアは、U23もしくはエリートのナショナルチャンピオンが揃ってイスラエル入りした。他にもオランダ、スイス、ラトビア。USAとドイツなどはナショナルチーム参戦。有名なライダーやワークスチーム、女性ではアルカンシェルライダーも来場。素朴でのどかな農地が華やかな舞台になった。
前日には何もなかったスタート・フィニッシュエリアだが、レース当日の早朝にはワールドライダーが会場を埋め、DJもスタンバイ。殆どコーステープが見られないラフなコースだが、世界レベルの走りが見れる特別な空気感に包まれている。
コースレイアウトは至ってシンプル。大きく上って下ってくるそれ。ガレ場もあるファインドライの白い土。シングルトラックも多く、ダウンヒルでもパワーを必要とする。スリッピーなコーナーがあり、スピードコースだが常に集中する必要がある。
レースは木曜の1日目9:00、金曜の2日目10:30スタート。UCIのXCOとしては異例の曜日と早い時間での開催。イスラエルならではのスケジュール。
チームはトルコでの身体ダメージを残しているため、軽い試走に留めて2日間に挑んだ。このレースでのチーム目標は、UCIポイントを射程にする位置で走ること。日本人の誰よりも速いライダーが犇めく中で、どうモガケルか。
スタートコールはチーム2選手とも21番前後。4名しか並列できず、深い溝もある荒れた登り基調の狭い道幅のスタート。5列目以降は大きく不利になるパターンだが、それでも強い選手は強烈なプッシュを見せ、前へ前へと上がっていく。
<第1日目 UCI C-2>
翌日のC-1を確実に狙うため、5名程のトップ選手がスタートしない。
9時定刻の号砲一発、土煙をあげながら7周回のハードなレースが始まった。チームの2選手は大きなミスなくスタートするが、先頭のトップスピードがあまりに速い。1周目が終わる時点で早くも先頭から30秒程の遅れをとってしまう。20~25番手前後。
2周目、先頭はこの日圧勝することになるドイツ選手を中心に7名のパック。やはりこの周回ラップが最速。その10秒後ろに10名程の縦長のセカンドパック。更に20秒後ろのサードパックに平野選手と沢田選手がいる。ジャンプアップすることができない。
3周目、先頭は一旦ラップを落ち着かせ、レース後半へのけん制。すでにセカンドパックも崩壊し始めた。平野選手がようやく掛かってきた。沢田選手らとのパックから抜け出し、17番手単独で前を追う格好。沢田選手はこれに同調できず。
4周目、先頭のドイツ2選手が飛び出し再びラップが上がる。平野選手は登坂スピードを活かして前の選手をパスし15番手。沢田選手も前から落ちてくる選手を拾いながら順位をあげていく。
5周目、先頭が独走状態に。先頭を追う集団も縦にバラバラになっていく。平野選手はラップを安定させてひとつずつ順位を上げ14番手。沢田選手も粘りのある走りで17番手に。
6周目、平野選手は13番手まで上がってきた。UCIポイント圏内が見えてくる位置。沢田選手は後方から上がってきたライダーにパスされ18番手に。
7周目、平野選手は最後までプッシュ。しかし10位の選手を捉えるまでには周回が足りず13位でフィニッシュ。トルコでの予期せぬ不調から回復基調の走りだった。沢田選手は18位でフィニッシュ。中盤での粘りのある走りは彼らしく、翌日のレースが期待された。
<第2日目 UCI C-1>
前日と全く同じコースと周回数。しかしライダー構成は非常に強力に。より強いワールドカッパー、ワークスライダーが加わり、レースレベルが大きく上がった。
10:30、快晴の真夏日の中、50名の精鋭がスタート。ファストラップはやはり前日よりも速く、9分台を叩き出した。チーム2選手は長い列車の30~35番手前後で1周目。
2周目、ワークスライダーが先頭パックを牽引。7名程のパックが形成された。その直ぐ後ろを追うセカンドパックは5名程。ラップが非常に速い。この2周目の高速列車に乗れない選手はポディウムが絶望的になることに等しい。沢田選手は混沌した集団から少しずつ上がり、27番手前後。平野選手は掛からない自分を待っているかのような静かな走りで30番手前後。
3周目、沢田選手は積極的に攻めている。順位は中々上げれないが、何度もプッシュする走りが見られた。平野選手は呼吸が落ち着いており、いつでもプッシュできそうな状況だが、腰辺りに違和感があり、強いトルクを掛けることができないでいた。
4周目、この日もドイツU23ナショナルチャンピオンが独走態勢へ。その後ろもドイツチームライダー。ワークスライダーたちもこの速さに対応できず容認。その中、沢田選手は前後の選手を使いながら前を追いかけ、25番手まで順位を上げてきた。一方、平野選手は諦めてはいないが、昨日見せた復調の走りが戻ってこず30番手。
5周目、沢田選手は登坂でのプッシュを何度も繰り返し、前方の集団が見える位置まで上がってきている。平野選手はペースを上げれないが、落ちてくる選手をひとりずつ拾いながら29番手。
6周目、80%カットで多くの選手がレースを降りて行く。レースは前日を上回るスピードで展開。沢田選手は単独になりながら23番手まで順位を上げる。平野選手も諦めてはいない。冷静に補給しながら28番手。
7周目、優勝ライダーと同一ラップでファイナルに入る選手たちに観客から拍手が送られる。沢田選手は最後までプッシュしての23位フィニッシュ。平野選手も走り切って28位でフィニッシュした。
2日連続、それもワールドライダーとのレース。UCIポイントの獲得は出来なかったが、我々チームが向かうべき姿がより明確になった。ライバルの実力を鑑みた場合、この2日間のレースで安定して15番手に絡む走りができるとしたら、それはワールドカップでUCIポイントを獲得し、世界選手権で確実に完走する位置にあるということ。
チームの挑戦は続く。イスラエルから再びトルコへ戻り、次週末はYalova MTB CUP  UCI C-1。
日本から多くの応援をありがとうございます。すべての応援・支援に感謝し、チームは強く戦います。



















2019年9月17日火曜日

O、Sakarya MTB CUP UCI C-1

チームは2020年MTBマラソン世界選手権を開催するトルコ・サカリヤでのUCI C-1に挑戦。
結果、チーム全員が食あたりによる体調不良を伴い、強豪が犇めく中で万全なスタートができなかったが、沢田選手は15位と健闘してUCIポイントを獲得。平野選手はポイント圏内を視野におさめながら次戦への体調回復を考えてDNFとした。

トルコ・サイクルスポーツの聖地とも言えるこのサカリヤには、世界屈指の施設が最新かつ集約されている。DHI、フィギアを除くあらゆるサイクルスポーツが一か所で可能となり、トレーニングセンター、ミーティングルーム、プレスルーム、観戦エリアはまるでプロサッカー場のよう。エンターテインメントも凄い。パスポイントにはワイヤーカメラが並走し、カメラはすべてのセクションに配置。ビックビジョンでレースの動向がリアルタイムで観れるし、フィニッシュ前100mはデジタル看板。レジストレーションの質も含め、オルガナイズはワールドカップや世界戦に劣らない。
エントリーするメンバーも昨年より更にレベルが上がっている。先の世界選手権トップ20番台に入るライダーが複数おり、スロベニア、ウクライナ、ギリシャ、ロシア、カザフスタン、イラン、トルコはナショナルチームで参加。フランス、スイス、オーストリア、ラトビア、イスラエルなどからもナショナルチャンピオンを含む強豪が集まった。ワールドカップ最終戦が終わっても、2020東京オリンピック出場を狙う国や選手は全く力を抜いていない。

チームはレース3日前に現地入り。このサカリヤは昨年も滞在し、2レースを経験している。現地の友人も多く、生活し易い場所だ。コースも認識しており3日間あれば充分に順応できる。しかし今回は不運にも落とし穴があった。現地で大人気のいつものレストランで加熱調理したものを選んだが、チーム全員で食あたりを起こしてしまった。最善を尽くして対応したが、レース当日もエネルギーが満たされない状態でスタートを迎えなければならなかった。

2選手ともスタートグリッドは2列目。夕方のオレンジ掛かった陽射しの16時定刻、スタートループ+8周回のレースが始まった。47名のエリートライダーが流れるようにコースへと入っていく。
平野選手と沢田選手ともにトラブルなくコースイン。沢田選手はトップ15の集団に入って1周目を進める。平野選手は25番手前後でいつものスタートダッシュは見られない。
2周目、沢田選手は11番手前後のパック。この日優勝することになるラトビアのライダーが7名の先頭集団を引っ張り、セカンドパックとの差を徐々に広げていく。一方、平野選手は体調の回復を待っていた。無駄な動きをせずに自分を鑑みながらの25番手前後。
3周目、先頭集団は5名に絞られた。後方からスタートで遅れた選手数名が単独で追いかける。沢田選手はそれに乗っていきたいが、中々前に行けない。砂利の滑りやすい登坂はファストラップを出すのだが、スピードの出る緩い上りや下りでペースアップできない。平野選手は回復しない。あまりに速い全体ラップから落ちてくる選手を拾い21番手まであがるが彼本来の走りではない。
4周目、沢田選手はガマンの時間となる。想像通りトップ10ライダーはかなり速く、先頭パックの3名以外、後続パックは崩壊し、それぞれが得意な場所で緩急つけた走りに変わっていく。沢田選手は中盤から調子のあがってきたライダーに抜かれて15位前後まで後退。平野選手は大きくペースダウンし、再び25番手まで下がってしまう。
5周目、平野選手はテクニカルフィードでストップ。残念ながら体調悪化を避けるため、DNFを選択してレースを降りることにした。沢田選手は粘り、決して諦めない走りを魅せる。前後の選手と距離が空いてしまってもペースを乱さず、積極的にプッシュ。
6周目、80%カットが始まった。後方から息を吹き返した選手がペースアップするが半数以上のライダーがレースから降ろされていく。沢田選手は17番前後。
7周目、沢田選手がプッシュ。前周回で下げた順位を15番手まで戻し、前の選手までの距離を徐々に縮めていく。苦しい展開に変わりはないが、UCIポイント圏内をキープ。
8周目、著名なライダーも自らレースを降りる厳しいレース展開の中、沢田選手は全てを出し切ろうと懸命の走りが続く。フィニッシュまで全開で走る姿にトルコ人からも最後の応援が入る。スタジアムの大歓声の中、15位でフィニッシュした。

残念ながら思いがけない食あたりにより、狙い通りのレース展開にならなかった。しかしこれを反省しつつも次のレースに向けて体調回復に集中したい。そして、東京オリンピックに向け、残された重要なレースに全力で挑戦していく。
いつも変わらぬ応援をしていただいているスポンサー、サプライヤー、ファン、家族に感謝します。チームは困難に負けず、全てを力に変えて前へ進みます。











2019年9月11日水曜日

O、Next stage

世界選手権、ワールドカップ最終戦が終わり、MTBレースシーンはボリュームを落としながら、2019年の振り返りが多くなっている。一方、チームはこれまで30レースデイを戦っているが、年間スケジュールでは9月以降にまだ10レースデイ以上を残している。
国内に留まっていれば年間10レースでも多い方なのだが、2019年のチームはシーズンを3つに分割して活動を組んでいる。2-5月、6-8月、9-12月。レース界が世界選手権を中心に動いている中で、チームは3段目のスタートに着く準備をすすめてきた。
同時に2020年に向けた取材・撮影・番組への出演依頼が増えている。すべて2020年オリンピック出場に向けた内容だ。その中で「意識するライバルは誰か」「ライバルに対してどう勝つのか」「代表になる自信は」といった質問が多い。でもその答えは記者やTVディレクターの意図に反しているのだろう、顔の表情が曇っていく。
「ライバルがいるから自分が強くなれる訳じゃない。自分が一番強くなるために準備を確実に行うこと。そして勝つこと。」
これ以上ないとてもシンプルな答えだろう。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingは今日から再び欧州遠征に向かう。
応援を宜しくお願いします。